鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

マーケットの厳しい目

[要旨]公共施設は、事業主体が役所であることから、「開発できる予算さえあれば、作ってしまう」傾向にあります。そこで、銀行から融資を受けて施設を作ることにすれば、「マーケットの厳しい目」で運営の見通しの検証を受けることになり、より、成功に近…

なんちゃって地域ブランド

[要旨]地域ブランドを形成しようとする方の多くは、どんなものでもブランド品になる、コンサルタントに依存的になる、一朝一夕にブランド力を高めることができるという、誤った認識や対応をしている結果、その目的を達成できなくなってしまうようです。[…

株式持合解消とメインバンク制度希薄化

[要旨]エコノミストの佐治信行さんは、日本の会計基準が変わり、株式持合の解消やメインバンク制度の希薄化が、日本の会社が弱体化した要因であると指摘しています。私はその指摘は事実ではあるものの、日本の会社の活動はボーダーレスになっている以上、…

焼鳥屋で世の中を変える

[要旨]鳥貴族は、品質の高い焼鳥を、均一価格で提供することで、顧客からの支持を得て、事業を拡大してきました。すなわち、同社の事業は、焼鳥そのものよりも、高品質の商品を均一価格で提供するという、会社のコンセプトが支持されていると考えることが…

グレイナーの成長モデル

[要旨]米国の経営学者のグレイナーによれば、会社の事業が拡大するにしたがって、経営スタイルは変えなければなりません。ところが、経営スタイルを変えることを怠ってしまうと、そのことが事業拡大の阻害要因になってしまうことに注意が必要です。[本文…

『最善と思える決断』が組織を強くする

[要旨]元プロ野球中日ドラゴンズ監督の、落合博満さんは、かつて、日本シリーズでの投手交代の采配について疑問視されたことがあります。ただ、結果が分かってからの批判は価値はなく、その時に最善と思える決断をすることが大切です。最も避けなければな…

フィデューシャリー・デューティー

[要旨]金融庁は金融機関に対して、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位)の営業活動を実践するよう求めています。しかし、金融機関側も、顧客本位の営業活動を行なおうとしても、低金利政策により、適切な利益を得ることが困難になっていることか…

業績が悪化しても信金は融資を継続する

[要旨]信用金庫は、営業エリアが限られていることから、融資している会社の業績が悪化しても、直ちに返済を求めることはしにくいという傾向があります。しかし、業績が悪化した会社の融資管理や、経営支援をできるスキルを持った人材が少ないこともあり、…

地域密着の効果は限定的

[要旨]鳥羽田継之さんのご著書、「なぜ信用金庫は生き残るのか」では、地域密着の営業活動が信用金庫が利用者の評価を得ていると説明しています。それは事実ではあるものの、例えば、城南信用金庫では、正常先への融資の割合が84%もあり、すべてにおい…

変化することは異常ではなく正常な時代

[要旨]コロナ禍の影響に加え、日本人の食の嗜好が変わってきたことから、横浜中華街のシンボル的な存在であった、聘珍楼横浜本店が閉店しました。しかし、現在は、経営環境の変化に対応して事業も変化することは当然であり、そのための撤退は評価される決…

日本のビックマック指数は安すぎ?

[要旨]2021年6月の日本のビックマック指数は3.55ドルであるのに対し、米国のそれは5.65ドルであり、日本のビックマックの価格は、米国の約63%しかありません。これは、日本国通貨の購買力が低いのではなく、日本の物価が低いことに原因が…

セブンイレブンのバリューチェーン分析

[要旨]バリューチェーン分析は、事業活動のどの部分でどの程度コストがかかっているのか、その結果どの程度付加価値が生み出されているのかを把握し、事業戦略の有効性や改善の方向性を探る分析手法です。特に近年は、同じ事業でも、会社によって結果に差…

財務指標と非財務指標のバランス

[要旨]バランススコアカードのバランスの意味としては、財務と非財務、短期と中長期、内部と外部という、多面的にバランスを図ることができるということが考えられます。したがって、BSCによってKPIを設定することは、KPI同士の因果関係を明確に…

BSCの4つの視点に基づくKPI設定

[要旨]会社の利益の増加のためには、財務面だけでなく、非財務面での改善活動が必要であり、それぞれの活動にKPIを有機的に関連付けてKPIを設定します。その際、BSCの4つの視点から改善活動を検討することで、各KPIの因果関係を明らかにする…

KPIの設定の失敗事例

[要旨]KPIによる事業の管理は、目的と手段を取り違えないようにすることが大切です。また、最初から、適切なKPIを設定することも難しいことですので、仮説と検証を繰り返しながら、より適切なKPIを探究していくことも大切です。[本文]今回も、…

KPIはプロセスの状況を示す指表

[要旨]KPIは、そのものが直接的な目標ではなく、また、単に重要ということでもなく、目標に関係する重要なプロセスの状況を表すような指標です。そして、それらは事業の内容によって、適切に選定する必要があります。[本文]今回も、早稲田大学ビジネ…

ABMによるメリハリのある事業運営

[要旨]ABCに基づいた事業運営管理をABMといいます。一般的には、ABCによる原価計算では、標準品より特注品の方が原価が高くなりますが、特注品の採算が図れるよう、ABMによって、不要な活動を削減したり、活動を共通化するなどの改善を行いま…

ABC導入の4つのデメリット

[要旨]活動基準原価計算(ABC)の導入のデメリットは、アクティビティの設定に労力を要すること、間接費の集計はシステムの導入が進んでいなければ難しいこと、正確な原価の算出によって自部門の評価が下がることを懸念する部門が消極的になること、A…

ABCの活用にメリットのある会社

[要旨]活動基準原価計算(ABC)は、原価を正確に把握できることから、多品種少量生産をしている会社、間接費の比重の高い会社、コスト面で競争優位に立とうとしている会社に向いています。また、サービス業も、その提供するサービスは、ほぼ、間接費が…

アクティビティとコストドライバー

[要旨]活動基準原価計算(ABC)の考える原価は、単に、費用が集計されたものととらえるのではなく、活動の積み重ねによって製品が製造されるのであり、その活動に要した費用を集計するという考え方です。その活動をアクティビティといい、製品ごとに要…

活動基準原価計算と間接費

[要旨]製品の製造費用は、製品と原価の関係が直接的である直接費と、製品と原価の関係が直接的でない間接費に分けられます。財務会計では、間接費を、時間や面積などによって製品に賦課しますが、この方法では経営判断を正確に行うことができないため、そ…

製造業の工員の賃金は変動費

[要旨]製造業の工場で働いている工員の賃金は、雇用契約によって、売上高とは直接的に関係なく、固定的に支払われていますが、管理会計の考え方からは、工員の賃金は、変動費としてとらえています。それは、工員の賃金は、製品ひとつひとつに配賦(賦課)…

固定費と損益分岐点売上高

[要旨]CVP分析の観点から、会社が利益を得るには、売上高を増やす方法だけでなく、固定費を減らすという方法があります。ただし、固定費を減らすことは容易ではないのですが、繁忙期の需要を閑散期にずらすよう顧客に働きかけたり、需要予測の精度を高…

限界利益の意義

[要旨]限界利益は、商品の販売数を増やすことで増加していき、その額が固定費を上回れば、それ以降は、会社全体が黒字となります。そこで、経営者の方は、毎月、自社の限界利益額を算出し、固定費を上回っているかどうかを確認することで、会社が赤字にな…

貢献利益

[要旨]貢献利益は、売上高から、変動費と、その部門だけで発生する固定費である部門固定費を差し引いた残りを指します。これは、その部門によって得られる利益を示しており、その大きさによって、その部門を拡大するか、または、縮小・撤退するかを判断す…

限界利益

[要旨]限界利益は、管理会計の考え方であり、売上高から変動費を差し引いた残りを指します。しかし、現実には、変動費を厳密に算出できなことから、実際の限界利益も算出することは、ほぼ、不可能です。また、限界利益の限界とは、数学の微分の考え方であ…

財務面のデューデリジェンス

[要旨]財務面のデューデリジェンスは、資産が実際の価格より多く貸借対照表に計上されていないか、負債が実際の価格より少なく計上されていないかを確認します。ただし、会計処理を正しく行っても、貸借対照表の資産の価額と実際の価格にはずれが生じます…

デューデリジェンスの対象

[要旨]デューデリジェンスは、主に、法務、会計・税務、ビジネス、システム、環境を対象に行なわれます。このうち、ビジネスについては、ポテンシャルについて確認が行われ、業績が向上しているときは、それが大きく評価されます。[本文]今回も、早稲田…

デューデリジェンスとは『最善の努力』

[要旨]デューデリジェンスとは、『最善』を意味するDueと、『努力』を意味するDiligenceを合わせた言葉で、直訳すると、『最善の努力』という意味です。特に、会社の資産の額を示している、貸借対照表の金額は、会計の手続きの観点で価額が算…

事業のリスクと財務的安全性は均衡する

[要旨]成果の見通しにブレがある事業は、会計的にリスクがあると言われますが、そのような事業を営むには、純資産比率を高くするなど、財務的な安全性が求められます。しかし、自社の事業のリスクの度合いを理解せず、リスクの高い事業に向かない銀行融資…