[要旨]
地域ブランドを形成しようとする方の多くは、どんなものでもブランド品になる、コンサルタントに依存的になる、一朝一夕にブランド力を高めることができるという、誤った認識や対応をしている結果、その目的を達成できなくなってしまうようです。
[本文]
まちビジネス事業家の木下斉さんのご著書、「地方創生大全」を読みました。同書には、地域ブランドの失敗する理由について書かれていたのですが、私は、その部分を読んだときに既視感を感じました。木下さんによれば、地域ブランドについて失敗する例が多いそうなのですが、その理由について3つ挙げておられます。1つめは、どんなものでも地域ブランドに適しているわけではないのに、凡庸なものを地域ブランドにしようとすると、失敗してしまうそうです。
2つめは、地域ブランドを創ろうとするときに、国や自治体の補助金を活用し、それでコンサルタントに支援を依頼することが多いそうですが、コンサルタントはコンサルティングの受注をとろうとして、地域ブランドが成功するという前提で受けてしまう結果、日本中に代わり映えのしない、「なんちゃって地域ブランド」が出来上がってしまうそうです。3つめは、そもそもブランド形成は、難易度の高いマーケティング手法であり、一朝一夕でできるものではないにもかかわらず、新商品を売り出せば地域ブランドができあがるという、誤った前提で取り組んでしまうこともあるそうです。
ところで、先ほど、私が、地域ブランドの失敗事例について既視感を感じたと書きましたが、それは、地域ブランドの形成に失している人たちと同様に、事業がうまくいっていない中小企業経営者の方も、着眼点がずれているという点で共通すると感じたからです。現在は、品質の高い商品が、安価で、日本中のどこでも買える時代なので、単に、地域の特産品であるとか、伝統のある商品であるというだけでは、競争力のある商品にはなりません。では、どうすればブランド力のある商品を開発できるのかということについては割愛しますが、これから行おうとする事業について、事前にしっかりとした考察を行わないことは、成功する確率を極めて低くしてしまうことになるでしょう。
2022/5/30 No.1993