鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

経理が正確な会社は信頼性も高い

[要旨]中小企業の中には、経理事務があまり正確でない会社も少なくないようですが、会計データの正確さを重んじる会社は、製品の品質も優れていたり、顧客からの信頼も高いことが多いようです。[本文]私は、ときどき、顧問先の経営者の方から、現在の顧…

管理会計とマネジメント

[要旨]管理会計は、マネジメントを行う上での重要な判断材料を提供するツールであり、リスクを回避する観点からも、方針決定のときに、会計的な要素を欠かすことは避けなければなりません。[本文]前回まで15回にわたり、主に、管理会計について説明し…

制約理論とスループット会計

[要旨]制約理論は、製造業の工程全体の効率化を図ろうとする理論であり、財務会計では発見が困難なボトルネックとなっている工程を、スループットの測定によって見つけ出すことで、工程全体の効率化を図ることができます。[本文]今回は、スループット会…

活動基準原価計算

[要旨]現在は、コストを極限まで削減するという観点から、精緻な原価管理の手法が求められるようになってきており、その手法として、活動基準管理が行われるようになり、その管理を行うために、生産活動に着目した原価計算である活動基準原価計算が考案さ…

正味現在価値法と内部利益率法

[要旨]投資の妥当性を判断する方法である、正味現在価値法は、将来のキャッシュフローの現在価値がどれくらいあるかで検討する方法であり、内部利益率法は、将来のキャッシュフローの利回りがどれくらいかで検討する方法です。[本文]前々々回に、投資の…

減価償却費と費用収益対応の原則

[要旨]減価償却の対象となる資産は、一般的に、数年にわたって事業活動、すなわち、利益を生む活動に利用されることから、減価償却の対象となる資産の費用化も、耐用年数にわたって費用化することが妥当であるという考え方に基づいて減価償却が行われてお…

キャッシュフローと減価償却費

[要旨]キャッシュフローの額は、一般的には、収益と費用の差額である利益と等しくなりますが、減価償却費は資金の流出の要因ではないため、利益と減価償却費の合計額が、キャッシュフローの額となります。[本文]前回、回収期間法について説明しましたが…

回収期間法

[要旨]回収期間法とは、新たに設備投資した金額が、その投資によって得られるキャッシュフローの何年分にあたるかということを調べ、その期間により妥当性を検討するという方法です。[本文]今回は、管理会計の中で、投資の妥当性を分析する方法である、…

埋没原価とコンコルド効果

[要旨]投資を失敗してしまったときなどは、その後に、経営者がどのような意思決定をしても、その投資は回収できませんが、その回収できない費用のことを埋没原価といい、それにもかかわらず、それを回収しようという誤った判断で事業を継続し、損失を増や…

機会原価

[要旨]財務会計では、取引が起きなければ何も記録されませんが、管理会計では、受注を逃した場合など、収益機会を失ったとき、それによって得られたであろう収益相当額の機会原価が発生したととらえます。[本文]前回までは、管理会計の損益分岐点分析に…

損益分岐点分析(5)

[要旨]限界利益とは、Marginal Profitの訳語で、売上で得られた代金の端の方にある利益という意味です。[本文]前回まで損益分岐点分析について説明してきましたが、今回は、限界利益について少し解説します。限界利益とは、売上高と変動費…

損益分岐点分析(4)

[要旨]損益分岐点売上高公式は、新たな融資を受けるときに、返済が可能となる目安の売上高を計算できるので、事業計画などの作成のときに活用できます。[本文]前回は、損益分岐点売上高公式(以下、単に「公式」と述べます)を使って、損益分岐点売上高…

損益分岐点分析(3)

[要旨]自社の損益分岐点売上高から、損益分岐点比率や安全余裕率も計算できますが、それらの比率から、自社の収益性の安全度を見ることができます。[本文]前回は、損益分岐点売上高公式(以下、単に「公式」と記します)について説明しましたが、今回は…

損益分岐点分析(2)

[要旨]損益分岐点売上高は、損益分岐点売上高公式(B=F÷(1-(V÷S))で計算しますが、この式は、限界利益が固定費と等しくなる売上高と求めるという考え方を示しています。[本文] 前回は、損益分岐点分析の概要と、損益分岐点売上高とはどういう…

損益分岐点分析(1)

[要旨]管理会計の代表的なものに、損益分岐点分析がありますが、それは、どれだけの売上があれば利益が得られるか、その分岐点となる売上高を分析する手法です。[本文]前回は、管理会計は、事業活動の将来の予測を、会社の内部の経営者などへ報告するた…

管理会計の利用者と目的

[要旨]財務会計は、過去の会社の収支の状況を、会社の外部の投資家などへ報告するために、統一された方法で作成されますが、管理会計は、事業活動の将来の予測を、会社の内部の経営者などへ報告するために、会社が自由に決めた方法で作成されます。[本文…

管理会計で銀行は自社をより深く理解する

[要旨]経営者の方が、どのような根拠に基づいて現在の事業の方針をとることを判断したのかという、その根拠を銀行に示すことで、銀行は会社のことを深く理解してくれるようになりますが、その根拠は、決算書だけでは不足するので、管理会計に基づいた資料…

「社長ひとりとその他大勢」から抜け出す

[要旨]中小企業でも大企業のように部署を作ることは珍しくありませんが、権限が社長に集中しているままでは、組織的な活動ができなので、部署を作ると同時に、権限も委譲できるよう、人材育成にも注力することが大切です。[本文]経営コンサルタントの板…

裁判で訴えられた会社を銀行は警戒する

[要旨]銀行にとって、融資をしている会社が裁判に巻き込まれることは、融資取引の懸念材料となるので、融資を受けている会社は、リスクが顕在化する時に備えて、普段から銀行と緊密な接触をしておくことが大切です。[本文]池井戸潤さんの小説、「下町ロ…

特殊な会社は改善手法も汎用性が低い

[要旨]個々の会社には、個々の事情があることから、自ずと事業の改善策も自社に合わせて策定することになりますが、そのことが時間のかかることであっても、改善プロセスとして省くことはできません。[本文]「実は、うちの会社には特殊な事情があって、…

成功するビジネスパーソンはお礼をする

[要旨]成功するビジネスパーソンは、広い視点を持って、多くの協力者との関係を強めていくことで、ビジネスの好循環を作っていると考えられ、そのような広い視点を持つことは、経営者としての資質と言えます。[本文]先日、あるコンサルタントの方とお話…

ポストコロナに向けての資金繰

[要旨]事業活動に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社の多くは、コロナ関連融資の利用によって、当面の資金繰は安定が見込まれるものの、これからは計画的な活動によって業況の回復に注力して行かなければ、コロナ関連融資の返済が始まるときに、…

兎角亀毛

[要旨]事業を営んでいれば、リスクを避けることはできないものであり、それを避けようとせず、うまく対処する能力を持つことが、経営者としての能力が問われる所です。[本文]先日、実業家の堀江貴文さんが、東洋経済に、事業とリスクに関するコラムを寄…

低金利が長引くと融資を受けにくくなる

[要旨]低金利が続く中、最近は、業況のよい会社であっても、銀行から見て取引の採算が合わないことを理由に、融資を断られることもあるので、銀行との円滑な取引を継続する場合は、銀行にとってもメリットにも注意することが必要です。[本文]先日、ある…

民法改正による第三者保証の意思確認

[要旨]4月から改正民法が施行され、第三者保証は公証人から意思確認を受けることが必要となったことから、今後、銀行は、第三者保証を求めることは、ほとんどしなくなると思われますが、現在、第三者保証を条件に融資を受けている会社は、銀行から、融資…

銀行職員のスキルが低いときの対応

[要旨]自社担当の銀行職員のスキルが低いと、その銀行との関係が希薄になるかもしれないという懸念を抱いてしまいますが、基本的には、その銀行の融資課長や支店長とも面識をつくっておくことで、緊密な関係を維持することができます。[本文]前回は、融…

銀行に定例訪問したとき何を説明するのか

[要旨]銀行に自社の決算書の内容を説明するときは、「前期は、●●●に注力したので、その結果が、決算書の●●●の部分に反映されている」というような、実践した活動とその結果を報告するとよいでしょう。[本文]前回、銀行とのコミュニケーションを緊密にす…

銀行職員は融資取引先の評価を口にしない

[要旨]銀行に定期的に自社の情報を伝えるようにすることで、銀行との信頼関係が深まり、銀行の本音を聞くことができるようになるなど、融資取引がより円滑になります。[本文]前回、融資取引をしている銀行に、決算書を提出するだけでは、自社のことを十…

なぜ銀行は融資先の会社を理解しないのか

[要旨]「銀行は自社のことをあまり理解してくれない」という不満を持つ会社経営者の方は少なくありませんが、単に、銀行に決算書を渡すだけでは、銀行は、自社のポテンシャルを十分に理解することはできないので、経営者が自社の特徴を、直接、銀行に説明…

経営者が会計に強いと会社の業績もよい

[要旨]経営者の方が、自社の財務状況を把握していない会社ほど、業績もあまりよくないという傾向にあるので、経営者の方が財務に関心を持つことによって業況が改善する可能性が高まります。[本文]税理士法人古田土会計の森尾勝俊先生が、Youtube…