鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

なぜ銀行は融資先の会社を理解しないのか

[要旨]

「銀行は自社のことをあまり理解してくれない」という不満を持つ会社経営者の方は少なくありませんが、単に、銀行に決算書を渡すだけでは、銀行は、自社のポテンシャルを十分に理解することはできないので、経営者が自社の特徴を、直接、銀行に説明することが欠かせません。


[本文]

前回、税理士法人古田土会計の森尾勝俊先生が、Youtube動画で、銀行と融資取引をしている会社は、自社の決算書後、決算書を分析した内容を、短く文章にしてまとめ、銀行に持参して、経営者が自ら、直接、支店長に対して説明するとよいという助言をしておられたことを、ご紹介しました。これに関して、私が感じたことを、もうひとつ述べたいと思います。銀行から、なかなか希望通りに融資を受けることができなくて、「銀行はうちの会社のことをあまり理解してくれない」という不満を持っている会社経営者の方を、ときどき見かけます。

もちろん、そのような会社は、森尾先生のご助言にあるような、銀行への決算説明をすれば、現在の状況を改善できるようになるということは、容易に理解できます。一方で、このような例は少ないと思いますが、顧問税理士の方から渡された自社の決算書を、自分自身ではあまり目を通すことなく、そのまま融資の申し込みをしている銀行に渡し、その結果、銀行からあまりよい回答が得られなかったとき、「銀行は自社のことをあまり理解してくれない」という不満を、その会社の経営者の方が口にするとすれば、その経営者の方は、当事者意識が低いと言えるでしょう。

繰り返しになりますが、森尾先生のご助言のように、自分で自社の分析した結果を銀行に伝えていれば、必ずしも、銀行がその分析結果に同意するとは限りませんが、少なくとも自分の考え方が銀行には伝わっていないとは考えないでしょう。また、銀行が同じ考え方をするかどうかには関係なく、自分自身で自社の改善点を分析しているのであれば、その要改善点について改善策を実践し、そして業績が改善されれば、銀行もその事実を認めざるを得ないでしょう。

ここまでは当たり前のことを書いてきたのですが、中小企業経営者の方が、融資取引をしている銀行の、自社に対する融資姿勢に関して不満を持っている場合、その原因の大きな部分は、銀行とのコミュニケーションが不足していると思います。森尾先生の助言通りに自社の決算書の報告をしていれば、必ずしも銀行とは意見が一致しないとしても、自社のことを理解されてはいないとは感じなくてすむと、私は考えています。

 

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