鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

売掛金を100%回収することは不可能

[要旨]

売掛金が回収できなくなると、その分が損失となりますが、そもそも売掛金を100%回収することは不可能です。そこで、不可避であることを避けようとすることよりも、売掛金が回収できなくなりそうになったときはどうするかということを、前もって決めておくことの方が重要になります。


[本文]

私は、ときどき、なかなか回収できない売掛金について、ご相談を受けることがあります。では、売掛金が回収できないと、何が困るのでしょうか?それは、回収できなければ、その分だけ、損失が発生するからと考える方が多いと思います。当然です。ただ、その前に、売掛金は回収できない可能性があると考えていれば、現実に回収できなくなったとき、困る度合いが低くなります。

とはいうのは、売掛金は回収できないこともあると経営者の方が考えているのであれば、何らかの対応を講じることになるからです。このことは、ほとんどの方が理解されていると思うのですが、その一方で、売掛金は回収できない可能性があるという前提で、事前の対策をとっている会社は、中小企業ではあまり多くないと私は感じています。

では、事前の対策とはどういうことかというと、そのひとつは、与信管理です。具体的には、販売先の信用状況に合わせて販売額を決める、営業担当者ごとに販売額の決定権限を定めるなどということです。2つめは、管理体制の整備です。売掛金管理は誰が行うのか、回収が遅れたときは誰が督促するのか、販売先が業績不振になったり、支払い不能になったりしたときは、誰が債券管理するのかということなどを定めることです。

3つめは、経理規定の整備です。もし、売掛金が回収できなくなる可能性が高い時に、貸倒損失をどのタイミングで計上するのか、計上する判断は誰が行うのか、また、計上する判断をする人には、どれくらいまでの金額の計上を認める権限を与えるのかなどを規則で定めることです。このような準備をしていないと、売掛金の回収が怪しくなってきたとき、損失が発生しそうで困るという前に、誰が何をすればよいのかということで困ることになるわけです。

確かに、事前の準備をしてさえいれば、回収が難しそうな売掛金が回収できるようになるわけではありませんが、困ることは、貸倒損失の発生だけになります。そして、貸倒損失の発生は、ビジネスを遂行する中で避けることができないわけですから、乱暴な言い方ですが、不可避なことを避けること自体は無意味になり、この不可避なことを除けば、困ることはなくなるわけです。したがって、不可避なことをなくそうとせずに、避けられることだけを避けようとするべきということになります。この観点からすれば、貸倒への事前の準備をしていなければ、困ることは必然ということです。

2022/1/19 No.1862

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マネジメントとリーダーシップの違い

[要旨]

九州大学大学院の小城教授によれば、マネジメントは「決められた目標を達成するために部下をしっかりと管理する」ことが目的であるのに対し、リーダーシップは「大きなビジョンを描いて大勢の人を巻き込んで実現していく」ことが目的と説明しています。これらの違いを理解することは、管理者としての行動を明確化することにつながるでしょう。


[本文]

九州大学大学院の小城武彦教授の、ポッドキャスト番組を聴きました。番組の中で、小城教授は、マネジメントとリーダーシップの違いについてお話しておられました。(1)マネジメントは「管理する」のに対し、リーダーシップは「革新をもたらす」(2)マネジメントは「前例を踏襲する」のに対し、リーダーシップは「オリジナルを考え出す」(3)マネジメントは「現状や秩序を受入れる」のに対し、リーダーシップは「現状に挑戦し秩序を作り出す」(4)マネジメントは「Howを考える」のに対して、リーダーシップは「WhatやWhyを考える」(5)マネジメントは「短期の損益に関心を持つ」のに対して、リーダーシップは「長期の可能性にかける」

これらのことから、小城教授は、マネジメントは「決められた目標を達成するために部下をしっかりと管理する」ことが目的であるのに対し、リーダーシップは「大きなビジョンを描いて大勢の人を巻き込んで実現していく」ことが目的ということをお伝えしたいようです。とはいえ、小城さんは、マネジメントに否定的で、リーダーシップに肯定的ということではなく、しっかりとマネジメントをしたうえで、さらにリーダーシップで会社に変革をもたらすことが望ましいとお話しておられます。

実は、私の考えるマネジメントとリーダーシップの言葉の定義は、小城教授とは違うのですが、しかし、小城教授のお話の内容は正しいと思います。マネジメントもリーダーシップも、組織の目標を達成させ、事業を発展させていくために必要なものなのですが、どちらも漠然としているためか、普段、事業の現場ではどちらもあまり意識されていないことが多いと、私は感じています。さらに、私は、こういった管理活動の重要性が高まっていることから、前述のようなマネジメントとリーダーシップの違いを学び、日常の活動の中で意識して実践していくことが大切だと思います。

2022/1/18 No.1861

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新たなことへの挑戦は利益につながる

[要旨]

新たなことに挑もうとするとき、メリットとデメリットの両方に直面します。しかし、変化しないことは退化することでもあり、長期的には業績にも悪い影響があります。そこで、新たなことへの挑戦をするときに迷う経営者の方は、それが利益を生むことにつながると考え、迷いを断ち切るようにすることをお薦めします。


[本文]

前回、話し方講師の高山ゆかりさんのPodcast番組について述べましたが、もうひとつ、高山さんのお話で気づいたことがありました。というのは、高山さんは、今年から、ポッドキャストの収録をするときは、台本を用意せず、ありのままの自分の話し方で話した内容を収録すると決めた一方で、やはり台本を用意しなくてもよいのかということも頭に浮かんだそうです。

それでも、一時的にはリスナーに不満を持たれることになるとしても、ありのままの自分の話し方を収録することにしたとお話しておられます。高山さんのように、新しいチャレンジをしようとすると、そのことによるメリットとデメリットの両方に直面し、どうしようかと迷うことは、経営者の方もしばしば経験していると思います。そして、私が知っている経営者の方は、その迷いを振り切って、新しいことに挑もうとする方の方が多いと感じています。

しかし、迷ったときは、現状維持をしようという経営者の方も少なくありません。そして、そのような経営者の方の経営する会社は、業績はあまりよくない場合が多いようです。これは、たまごとにわとりの関係になると思いますが、会社の業績が悪いから、新たなことに挑むことがしにくいのかもしれませんし、新たなことに果敢に挑まないから業績が改善しないのかもしれません。

そこで、私は、新たなことに挑むリスクを減らすために、業績を高めることが大切だと感じています。業績を高めることは、利益を得るという、会計的な面だけではなく、新たな事業展開をしやすくするという面もあります。これは当たり前のことなのですが、利益を得ることの重要性は多面的であるので、このように考えることで、新たなことに挑むためのモチベーションにしていただきたいと考えています。

2022/1/17 No.1860

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自分の強みは自分では気づきにくい

[要旨]

自分では自分の強みに気づかないことは少なくないようです。そこで、自分の強みは何かということを、他の人にきいてみることで、自分では気づいていなかった強みを見つけることができるかもしれません。さらに、それを仕事に活かすことで、容易に競争力を高めることができるようになるでしょう。


[本文]

先日、話し方講師の高山ゆかりさんのPodcast番組を聴きました。番組の中で、高山さんは、昨年までは、Podcast番組の制作にあたっては、前もって台本を書き、編集にも時間をかけていたけれど、今年からはそのようなことはしないで、台本なしで番組を収録して行くことにしたとお話しておられました。

この番組を聴いて、私は、「高山さんの話し方は、とても流暢なので、それは、高山さんがプロフェッショナルのアナウンサーだからだと思っていたのですが、実は、台本を準備したり、編集に時間をかけていたりしたからこそ、出来上がった音声では、流暢な話し方をしているように感じられるのであって、決して、努力なしに流暢に話ができていたわけではないことが理解できました」という感想を、高山さんにLINEで送りました。この私の感想について、後日、高山さんから、番組の中でご回答をいただきました。

高山さんによれば、番組の収録にあたり、台本を書いたり、編集に時間をかけたりすることは、高山さんの得意とするところであり、努力していたつもりはなかった。ただ、高山さんご自身は、フリートークはあまり得意ではないと思っていたので、今年は、台本をつくらなくても話ができるようにしたいと考え、それに挑むことにしたということだったそうです。そうはいっても、高山さんの話し方は、私自身がPodcast番組を制作しているからわかるのですが、とても上手なので、お手本にしなければならないと思っています。

ただ、高山さんのすごいところは、台本をつくったり、編集に時間をかけたりすることは、努力しているとは感じていなかったということです。そのため、私が、それを努力していると感じたことは、高山さんにとっては意外だったようです。このように、自分では努力していないと感じていることが、他の人からみれば、努力していると受け止められることは、案外、多いのではないかと思います。それがあるとすれば、それは、ものすごい強みになるのではないかと思います。

なぜなら、本人は労力をかけていないのに、他の人からみたら労力をかけているとみえるからです。そこで、自分の強みを自分ではわからないという方は、ときどき、自分のすごいところは何か、他の人にきいてみるとよいのではないかと思います。そして、自分で気づかなかった自分の強みがあれば、それを仕事に活かして行くことによって、自分が思っているよりも、競争力を発揮できるようになると思います。

2022/1/16 No.1859

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譲渡担保融資と債権譲渡

[要旨]

事業再構築補助金を受け取る権利を担保として利用する融資を、譲渡担保融資といいます。また、同補助金を受け取る権利を銀行に買い取ってもらう、債権譲渡により資金を調達する方法を債権譲渡といいます。いずれも、補助金の交付決定を受けた会社の資金調達の方法として活用できるものです。


[本文]

事業再構築補助金を申請し、事業計画が採択され、かつ、交付決定を受けた会社は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が支払う予定の補助金を担保とすることで、銀行から融資を受けることができます。このような方法を、譲渡担保融資といいます。譲渡担保とは、受け取る予定の補助金(以下、債権と記します)を、銀行(または、金融会社等。以下同)に、融資の回収のためだけに利用するという取り決め(譲渡担保契約)をした上で、譲渡します。

これにより、外見的には、債権の所有権は銀行に移りますが、銀行は、その債権を、融資の回収以外には利用できません。譲渡担保契約をした後、事業者は銀行から融資を受けます。融資額は、譲渡した債権の金額以内とすることが一般的です。そして、債権の支払期日が到来すると、銀行は、第三債務者(この例で言えば、中小機構)から譲受債権の代金を受け取り、それを融資の回収にあてます。もし、受け取った債権の代金が、融資額を上回るときは、銀行は、その上回る額を事業者に支払います。これが譲渡担保融資です。

補助金は、原則として、実績報告を行ってからでないと受け取ることができませんので、事業を遂行するための資金調達方法のひとつとして、この融資を利用することは得策と思います。なお、事業再構築補助金補助事業の手引きによれば、「交付決定後に、本補助金の交付決定債権を金融機関に譲渡し、譲渡債権の対価として資金を調達する」ことが可能のようです。

交付決定債権とは、受け取る予定の補助金を指すと思われますが、その権利を銀行に譲渡することで、すぐに現金化できます。債権譲渡と譲渡担保は類似しているように思われますが、債権譲渡は、法律的には、融資契約ではなく、債権の売買契約です。具体的には、補助金を受け取る権利を銀行に買い取ってもらい、事業者は、売却代金から利息相当額(割引料)を差し引いた残りを受け取ります。

そして、事業者が実績報告の後、債権の所有権を持つ銀行は、中小機構から債権代金を受け取ります。このように、債権譲渡は融資契約ではありませんが、事業者から見れば、実質的には譲渡担保融資とほぼ同じように、資金の融通を受けることができます。また、譲渡担保融資、債権譲渡以外にも、事業再構築補助金の採択を受けた会社向けの融資制度を用意している銀行は多いようですので、詳しくは、銀行に問い合わせて見てください。

2022/1/15 No.1858

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創業時は計画だけで融資が受けられる

[要旨]

創業者向けの融資は、実績が出ていない会社に対し、事業計画書だけで融資審査を受けることができる、唯一の機会です。したがって、創業時には、なるべく融資を受けることで、ビジネスチャンスを広げられるようにしておくことが得策です。


[本文]

今回も、税理士の佐藤亜津子さんのご著書、「税理士がこっそり教える儲かっている会社の会計ルーティン15」から、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。「事業の内容にもよりますが、可能であれば、起業と同時に融資を受けることをお薦めしています。その理由は、起業と同時に受ける融資は、事業の実績が出ていない段階での融資であり、事業計画のみで融資審査が行われる唯一のタイミングだからです。

また、創業段階で融資を受け、その後、延滞せずに返済を行ったという実績をつくっておくと、つぎの融資を受けやすくなります」詳細な説明は割愛しますが、佐藤さんの指摘のとおり、創業者向けの融資は、比較的、承認を得やすい融資です。日本政策金融公庫の創業融資制度も、銀行の創業者向け融資に付けられる信用保証協会の制度保証も、国の財政的な支援があるので、これを利用することは、ある意味、チャンスと言えます。しかし、中には、起業するだけで手いっぱいで、融資を受けることまで手が回らないという方もいます。

ですから、起業には、ある程度の時間的な余裕を持たせ、しっかりとした準備をしておくことが得策です。もうひとつ注意を要することは、融資を受けたからには、当然、融資を返済しなければなりません。だからといって、一切、銀行から融資を受けないということの方が、ビジネスチャンスを狭めてしまうので、やはり、融資を受けるべきなのですが、しっかりと収益管理と、資金管理を怠らないということです。万一、赤字になった場合でも、早い段階から銀行に相談することで、次の支援が受けられる可能性が高くなります。

2022/1/14 No.1857

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融資申込にあたっては金額の根拠を示す

[要旨]

運転資金のための融資について、一度に多くの金額で申し込もうとする経営者の方は少なくないようですが、少額に分けて複数回申し込むことの方が、トータルの労力は少なくなります。また、資金繰予定表を作成することで、融資申請の労力を少なくすることができます。


[本文]

今回も、税理士の佐藤亜津子さんのご著書、「税理士がこっそり教える儲かっている会社の会計ルーティン15」から、私が気づいたことについてご紹介したいと思います。「融資の申し込みにあたって、私が相談を受ける時に、一番多い質問は、『当社はいくら借りられるでしょうか?』です。しかし、この質問は、誰も答えられませんし、そもそも意味がないと考えています。

融資は、『いくら必要だから融資して欲しい』と申し込むものです。あればあるだけと言いたくなる気持ちもわからなくはないのですが、それでは融資の審査のしようがありません。そのためには、資金繰表を書いてみるしかありません。自社がこのまま融資を受けないままでも、余裕をもって経営していけるのかどうか、余裕を持たせるためにはいくら必要なのか、ということです」

私が銀行職員時代も、佐藤さんと同じことを感じていました。融資を申し込む方は、できるだけ多くの融資を受けて、融資申込の回数を減らしたいと考える傾向にあります。その理由は、融資申込は労力がかかるということと、将来の資金繰の計算が難しいということだと思います。しかし、融資の申し込みを受けていた立場から述べれば、もし、1,000万円の融資を受けたいのであれば、300万円を4回申し込むことの方が、トータルの労力は少ないです。

また、事業の規模にもよりますが、そもそも1,000万円の融資は不可能のときもありますので、そうであれば、少額でも融資を受けることの方が得策です。しかし、受けられる融資額が少額であれば、すぐに資金不足になる可能性も高くなります。そこで、これは面倒と感じるかもしれませんが、1回目の融資の申し込みをしたときに、「また、3か月後に、資金不足になる可能性があるので、2か月後に、改めて融資の申し込みをしたいと思います」と、銀行に伝えておきます。

そうすることで、2回目の融資の申し込みをするときに、また最初から説明する必要もなくなり、銀行も、1回目の融資の申し込みの続きとして話をきくので、労力はだいぶ少なくなるでしょう。もうひとつ、運転資金としての融資申込の労力を減らす方法は、佐藤さんもご指摘しているように、資金繰予定表を作成することです。極端かもしれませんが、会社が大幅な赤字ではない、または延滞をしていない限り、資金繰予定表を見せれば、それだけで銀行は融資に応じてくれるでしょう。

それは本当なのかと感じる方もいるかもしれませんが、融資申込を受けた際に、銀行職員がいろいろ質問するのは、その会社の資金繰を把握するためだからです。そこで、資金繰予定表ができていれば、銀行は質問することがほどんどなくなるわけです。ただし、不慣れな方は、資金繰予定表の作成は難しいことも事実のようです。しかし、一度作成できれば、次からは作成が容易になるので、資金繰予定表を作成してみいたいという方は、資金調達支援の専門家などに支援を依頼してみることをお薦めします。

2022/1/13 No.1856

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