鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ROAは収益性と効率性の総合的指標

[要旨]ROAは、資産に占める利益の割合を示す指標ですが、売上高利益率と、総資産回転率に分解できます。このことから、ROAは、収益性(売上高利益率)と効率性(総資本回転率)を総合的に見る指標であるとも言えます。[本文]今回も、早稲田大学ビ…

ROEと出資の意義

[要旨]上場会社は、一般的に、ROEが5%以上となる業績を求められています。これは、投資家がリスクを負っていることの見返りであり、合理的と言えます。中小企業の場合、その多くは経営者が株主を兼ねているため、株主が経営者の責任を追及することは…

営業活動以外のCFには限界がある

[要旨]キャッシュフロー(CF)は、営業活動、投資活動、財務活動のいずれによって増加させても同じものですが、投資活動、財務活動から得られるCFの額には限界があります。そこで、投資活動、財務活動によって得られるCFに頼りすぎることなく、恒常…

キャッシュフローは利益が裏付けになる

[要旨]キャッシュフロー(CF)が維持できなければ、事業が停止してしまうため、キャッシュフロー計算書で、それを確認しなければなりません。ただし、単に、CFを維持すればよいということではなく、基本的には営業活動でCFを生み出すことが基本とな…

キャッシュフローを生み出す3つの活動

[要旨]キャッシュフローは、利益を得たり、固定資産を売却したり、融資を受けたりすることで増加します。逆に、赤字になったり、固定資産を購入したり、融資を返済したりすると減少します。これらの動きを1年間分まとめたものが、キャッシュフロー計算書…

売上原価と販売費及び一般管理費の違い

[要旨]化粧品は、第1次品質よりも、第2次品質や第3次品質の重要性が高く、それらを高めるために、化粧品メーカーでは、広告宣伝費の割合が高くなっています。したがって、化粧品メーカーでは、広告宣伝費は、実質的には製造原価と考えることが妥当です…

棚卸資産には費用が含まれている

[要旨]棚卸資産の価額は、例えば、仕入れた商品そのものの価額だけでなく、それを仕入れるために要した付随費用(運賃など)も、いったん、取得原価として棚卸資産に計上されます。そして、その商品が販売されたときに、付随費用を含めた売上原価が費用と…

受取手形と商業手形割引

[要旨]商行手形割引は、受取手形を銀行に買い取ってもらうことで、手形を現金化する方法ですが、これは実質的な融資取引です。そこで、銀行が融資審査をするときは、割引手形の残高を、受取手形の残高に加え、また、同額を「商業手形」勘定として、負債の…

リース会計基準とリース資産

[要旨]リース会計基準によれば、リースを利用した場合、リース料総額の現在価値を「リース資産」という勘定科目で資産に計上します。しかし、中小企業等では、リース会計基準を義務付けられていないので、リースを利用しても、リース資産を計上していない…

有形固定資産の価額と減価償却

[要旨]貸借対照表上の有形固定資産の価額は、会計的な手続きである減価償却によって計算されています。これは、保守的に資産額を見積もったり、機械的にに算出したりするためのもので、必ずしも、資産の時価などを反映しているものではないということに注…

減損会計

[要旨]貸借対照表上の固定資産の時価が下がったときは、それは、直ちに反映されません。一般的には、時価が帳簿価額の50%程度以上下落し、かつ、一定の要件を満たした場合に、時価を帳簿価格とします。[本文]今回も、早稲田大学ビジネススクールの西…

含み益と保守主義の原則

[要旨]阪神甲子園球場の約9.6万平米の敷地は、時価で約380億円ほどありますが、かつて、阪神甲子園球場を所有している阪神電気鉄道の貸借対照表には、800万円で計上されていました。これは、会社が取得した資産は、時価と取得価額のいずれか低い…

経過勘定と重要性の原則

[要旨]企業会計原則の注解の中には、「前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる」と記載があります。したがって、重要性の乏しい費用については、経過勘定として処理し…

未払費用と前払費用

[要旨]貸借対照表には、会計期間の末日時点で、その会計期間の費用でまだ支払われていない費用相当額が、未払費用として流動負債に計上されます。このような負債や資産を経過勘定といいます。この経過勘定は、決算日だけに計上される特別な科目であること…

貸借対照表は決算日の記念写真

[要旨]早稲田大学の西山教授は、貸借対照表の特徴のひとつを、「会社の決算日における数字を使った記念写真のようなもの」と説明しています。これは、会社の資産は、日々変化しているものの、貸借対照表の示す資産の額は、会計期間の末日のものであること…

財務会計、管理会計、ファイナンスの一体化

[要旨]財務会計、管理会計、ファイナンスは、現在は、お互いにそれぞれの考え方を採り入れるようになってきています。それは、現在の経営環境が複雑化してきていることにともない、より、精緻な情報が必要とされてきているためです。したがって、経営者の…

アカウンティングとファイナンス

[要旨]経営に関する数字の分野には、大きくアカウンティングとファイナンスの2つがります。アカウンティングは財務会計と管理会計があります。ファイナンスは、投資家の視点から会社の業績を分析することです。[本文]今回から、早稲田大学ビジネススク…

資金繰表はなぜ作成されないのか(3)

[要旨]融資申請時に資金繰表を提出していると、銀行は、資金繰表から、融資額の妥当性などを理解することができます。もし、資金繰表がなければ、聴き取りなどで、融資額の妥当性を検討しますが、口頭での説明では、十分な説明は難しくなります。したがっ…

資金繰表はなぜ作成されないのか(2)

[要旨]月次の資金繰予定表を作成するには、過去の月次損益計算書から趨勢をつかみ、そこから月次計画損益計算書を作成する必要があります。ところが、経営者の中には、会計記録に要するコストを渋る結果、過去の月次損益計算書の内容が不正確になり、月次…

資金繰表はなぜ作成されないのか(1)

[要旨]資金繰予定表を作成するには、まず、スキルが必要です。しかし、スキルを身につけても、売上計画がなければ、資金繰予定表も作成できません。資金繰予定表は、売上計画と一緒でなければ作成できないことも、あまり作成されていない要因のひとつと考…

経営戦略の立て方

[要旨]経営戦略の立て方は、一般的には、まず、経営理念を明らかにします。次に、経営環境を分析し、それに基づいて全社戦略を明らかにし、さらに、それに沿った事業戦略を策定します。そして、最後に事業戦略を効果的なものにするための機能別戦略を策定…

機能別戦略

[要旨]会社の各事業を遂行するためには、それを支えるための様々な機能があります。具体的には、マーケティング機能、生産機能、購買機能、研究機能、労務機能、購買機能などです。そして、これらの機能ごとに、最大の効果を得るための機能別戦略を策定し…

事業戦略

[要旨]事業戦略は、戦略の対象とする事業が最大の成果をあげることができるようにすることが目的です。また、事業戦略のおおよその内容は、ライバルとの競争にどのように勝つかという戦略です。このような面からは、事業戦略は競争戦略でもあると言えます…

全社戦略

[要旨]経営戦略は、対象によって分類することができ、会社全体を対象とする戦略を、全社戦略といいます。全社戦略は、PPMや、バリューチェーン分析により検討され、各事業ごとの経営戦略が部分最適を目指すことなく、会社全体の全体最適を目指せるよう…

経営戦略と経営戦術

[要旨]経営戦術は、明確な定義はありませんが、「経営戦略の目的を達成するための、より、具体的・実践的な取組み」と言えます。経営戦略に対応した経営戦術を明確にすることによって、経営戦略も、より、確実に遂行されるようになります。[本文]前回は…

経営理念と経営戦略

[要旨]経営理念は、会社の長期的な活動のよりどころとなるという点においては、経営戦略と共通していますが、経営理念は、会社の目的や目標といった、ゴールを示している点で異なります。また、経営理念を明確にすることで、社内の価値観が明確になったり…

経営戦略とはなにか

[要旨]「経営戦略」は、経営のための戦略、すなわち、「会社経営で、他社に勝つための総合的・長期的な計略」です。これは、会社の経営環境が、年々、厳しくなってきており、会社経営に工夫が必要になってきているからと言えます。[本文]今回から、数回…

融資は少ない方が適切か?

[要旨]会社の融資に否定的な経営者の方は、融資利息の支払いを避け、利益を増やそうと考えているようです。それは、財務会計の観点からは正しいと言えますが、手許資金を厚くし、経営環境が悪化したときに備えるという観点からは、必ずしも適切とは言えま…

従業員教育は投資だが会計的には費用

[要旨]従業員教育は投資と考える経営者は多く、また、それは正しい考え方ですが、財務会計では、研修費は費用にしかなりません。また、財務会計上は黒字であっても、研修費を支出すると、十分な利益が得られない事業は、実践する意味はあまり大きくないの…

『スーツ2着目半額』は管理会計の発想

[要旨]スーツの2着目を半額にしても利益を得ることは可能ですが、このような考え方の着想を得るには、製品の製造に関する費用だけを原価としてとらえる財務会計の情報だけでは得ることができず、管理会計の考え方が必要になります。したがって、経営者の…