鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

働きがいを高める魔法の杖はない

[要旨]従業員の方にとって、働きがいが高い企業とそうでない企業を比較すると、職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化に大きな差が現れています。ところが、これを改善するための「魔法の杖」はないので、経営者の方は、部下に関心を持ち、声かけを…

『あの人何をしてるんだっけ』症候群

[要旨]リモートワークが進むことで、組織の一体感や、会社への貢献意欲が減少したという調査結果が出ていることからもわかる通り、人間は有機的な存在であることから、公式的な組織だけの関係では、円滑な組織活動が困難になります。そこで、従業員同士が…

『うちって何の会社だったっけ』症候群

[要旨]変化の激しい時代においては、事業内容が次々と変わったり、目指す先が見えなくなったりするため、どんな企業や業種でも、『自社は何の会社なのか?』が曖昧なものになり、『うちの会社って、何の会社だったっけ?』という状況に陥りがちです。これ…

振り返れば誰もいない病

[要旨]会社の事業活動は組織的に行われていますが、「振り返れば誰もいない病」というような、組織活動が行き詰ってしまう症状に陥る組織は少なくありません。そこで、経営者の方は、事業活動そのもののだけでなく、その活動を実践する組織についても、円…

権限委譲と小集団活動

[要旨]会社の事業の改善活動は、会計データを共有し、その問題点を共通の認識とすることから出発しますが、従業員たちに自分事として能動的に改善活動に臨んでもらうためには、権限の委譲や、小集団活動の実施などの施策も合わせて行うことが肝要です。[…

全体目標を達成するためのKPIの活用

[要旨]会社の会計データを社内で共有することで、改善すべきポイントも役職員全員で認識できます。さらに、能動的に改善活動に取り組んでもらうためには、改善目標を達成するために、それを、部門ごと、製品ごとの目標に分解していくことで、部門、個人の…

会計データを従業員と共有する

[要旨]駅弁製造業の丸政は、取引銀行の支店長からの助言で、決算書の情報を従業員と共有することで、事業の改善活動に能動的に取り組んでもらうことができるようになりました。このように、会計データは改善活動に欠かせないものですが、それが迅速に得ら…

基本的なことの改善の効果が大きい

[要旨]山梨県の弁当製造会社では、取引銀行の支店長から、部門別の採算管理や、製造工程の適切な人員配置の助言を受け、それを実践することで業績が改善しました。中小企業の多くは、自己流で事業活動を行っている傾向にあることから、基本的なことを改善…

情報化武装にはユーザーのスキルも必要

[要旨]オーケーがピザの焼き具合をAIで判定させようとしたとき、2,000枚の写真を使っても精度を高めることができませんでした。このように、情報化武装を行う際には、一朝一夕で効果を得ることができないので、会社の競争力を高めるためには、情報…

AIを活用して品質の高いピザを焼く

[要旨]スーパーマーケットのオーケーは、看板商品のピザを、AIを活用し、経験の浅い従業員でも高い品質で焼くことができるようにしようとする取り組みが行われています。このように、情報化武装は、単に、合理化や効率化を図るだけでなく、新たな価値を…

未来人材ビジョン

[要旨]「未来人材ビジョン」では、日本の労働者は、現在の会社で働きたくないにもかかわらず、転職はしたくない、独立・起業もしたくない、さらに自己啓発もしていないという調査結果になったと受け止められているようです。しかし、日本では、人材投資が…

同族会社のガバナンスに必要なもの

[要旨]荻野屋社長の高見澤さんは、銀行の要請に基づいて経営改善計画を実践する中、自身でもリーダーシップを発揮して改善を行いましたが、そんな中、同族会社のガバナンスの重要性を認識したようです。そして、高見澤さんは、企業理念を遵守することがそ…

会計の活用によるの改善活動の迅速化

[要旨]荻野屋の社長の高見澤さんは、銀行に提出した経営改善計画に、自分たちの考え方があまり反映されていなかったことから、自主的な改善活動に着手しました。その際、主要な会計データを1か月毎から1週間毎に短縮したり、事業現場でのプロセス改善の…

コンサルタント会社主導の改善計画書

[要旨]荻野屋さんは、銀行からの要請に基づいて、コンサルタント会社の支援を受けて経営改善計画書を提出しました。社長の高見澤さんは、この計画書に不満を感じる面もありましたが、融資支援を継続するためには、キャッシュフローの捻出を最優先させる必…

改善活動には説明責任が欠かせない

[要旨]自社の事業改善のための活動は、経営者としては、当然、前向きなものと考えますが、それが客観的に奏功していることが分かる状態になっていなければ、銀行などは不信感を強めることになります。したがって、自社の改善活動について、客観的なデータ…

現金商売の盲点

[要旨]荻野屋さんは現金商売であったことから、日々の資金繰りは維持しやすい状態にありました。そこで経営者は慢心していた面があるようです。しかし、実際には、融資の借り換えにより、少ないキャッシュフローによってようやく資金繰りを維持していた状…

銀行は融資相手の会社の不透明さを嫌う

[要旨]荻野屋さんは、経営改善計画の提出を求められた際、同社の改善活動に不透明な点があったことから、銀行は同社の業績は改善する見込みが低いと判断したようです。そうなった原因として、同社社長は、銀行に対して、自社の活動の説明が不足していたと…

銀行から支援を突然停止さないために…

[要旨]駅弁の釜飯で有名な荻野屋さんは、東日本大震災の後、突然、融資を受けていた銀行から、経営改善計画の提出を求められ、融資返済についてリスケジュールすることになりました。そうなった原因は、社長の高見澤さんと銀行の間で、会社の評価に関する…

不慣れな会社はVCに主導権がわたる

[要旨]スタートアップがベンチャーキャピタルから資金調達をしたとき、投資契約書などにより、さまざまな財務目標を達成しなければならなくなるなど、自主的な事業運営が制限されることがあります。VCの利用が直ちに問題になるわけではありませんが、出…

会社は畳む時のほうがたいへん

[要旨]会社を設立することと比較して、会社を畳むときには相当の労力を要しますが、これは、ある意味、当然のことです。一方、会社の事業は、リスクをともなうことから、いつか継続できなくなってしまう可能性もあります。そこで、再起のチャンスを残して…

成功とは衰退の始まり

[要旨]衣料メーカーのグンゼは、創業後30年ほど経った1918年に、創業者の波多野鶴吉が急性しましたが、波多野が育てた従業員たちは、レーヨンという強力なライバルの出現に対し、垂直的多角化や差別化戦略という、当時としては先進的な戦略によって…

善い人が良い糸をつくる

[要旨]衣類メーカーのグンゼは、1886年に京都府北部で生糸を生産する会社として創業しましたが、当時の同社の製品の品質は粗悪であったことが課題でした。そこで、創業者の波多野鶴吉は、工場内に従業員向けの寄宿や教室を設け、人材投資を先行した結…

地方銀行による情報化武装支援

[要旨]ふくおかフィナンシャルグループの傘下の地方銀行では、取引先の会社の情報化武装の支援を行っています。現在は、会社の事業の生産性向上のポイントは情報技術をどれだけ活用しているかにかかっており、銀行による中小企業支援は、融資相手の業績の…

感謝を伝えると喜びが拡大していく

[要旨]社内においては、いわゆる報連相によってコミュニケーションを密にすることが励行されていますが、これを社外に対して行なう例は少ないようです。しかし、お世話になった方に対して、お礼や報告を行うことで、さらに良好な関係を築くことができ、新…

曖昧な喜びがお金の導火線になる

[要旨]過去に、自分が苦労してきた経験を持っている方が起業したり、管理者になったりすると、自分と同じ経験を部下にも経験させようとすることが、しばしば見られます。しかし、そうすると、部下たちの活動はぎこちないものとなり、よい成果になかなか結…

自信のある商品は高価格の方が売れる

[要旨]ある八百屋さんでは、農家から直接仕入れた極上のりんごを、3個1,500円で販売したところ、すぐに完売になったそうです。このことから、自信のある商品は、高価格で売った方が売れるということが分かります。もちろん、価値のある商品をそろえ…

おたく以外にも業者はいくらでもいる

[要旨]中小企業と取引をする大企業は、中小企業よりも立場が強いので、主人と奴隷の関係になることがあります。しかし、そのような犠牲を強いる会社は、これからは、事業がうまく行くことはないでしょう。むしろ、顧客と同じくらい仕入先や従業員などのス…

成長する会社と退化する会社の違い

[要旨]退化していく会社は、自己犠牲の精神、責任感、罪悪感、モヤモヤ、不安、恐怖、感情にフタをしてしまい、頑張ります。一方、成長する会社は、犠牲ではなく貢献の意義が根付いており、自分たちの従業員を大切にしています。さらに、自分たちの感情が…

『かごの鳥』の状態から抜け出す

[要旨]業歴の長い会社であっても、その会社の製造する製品の需要がなくなれば、会社も製造する製品を変えたり、業種転換したりするという対応が必要になります。こういった対応は、経営者の方からみればつらい面もありますが、会社の目的は、同じ事業を続…

労働分配率と労働生産性

[要旨]事業計画を立てるにあたっては、従業員の給与を確実に支払うことができるように、十分な付加価値額を得られるものとすることが必要です。そして、付加価値額に占める人件費の割合である労働分配率や、従業員ひとりあたりの付加価値額である労働生産…