鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

未来人材ビジョン

[要旨]

「未来人材ビジョン」では、日本の労働者は、現在の会社で働きたくないにもかかわらず、転職はしたくない、独立・起業もしたくない、さらに自己啓発もしていないという調査結果になったと受け止められているようです。しかし、日本では、人材投資が米国やフランスと比較して少なく、経営者側にも改善の余地があるようです。


[本文]

経済産業省が設置した、企業経営者や教育関係者らによる「未来人材会議」が、2022年5月に、「未来人材ビジョン」を公表しました。さらに、この未来人材ビジョンについて、2022年7月に、AbemaTVの番組有識者が討論していました。ちなみに、「未来人材ビジョン」については、この番組でも紹介されていますが、日本の労働者は、現在の会社で働きたいと考えている人は52%しかいないのに、転職したい人は25%、独立・起業したい人は16%しかおらず、さらに自己啓発をしていない人が46%もいるという調査結果が載せられていることから、危機感を指摘されているそうです。

私も、十分に、未来人材ビジョンを読み込んでいないので、そのような指摘が正しいかどうかは断言できないのですが、確かに労働者たちがそのような傾向にあることは事実だと感じています。しかし、会社側からの人材投資が少ないことも、改善の余地が大きいとも思います。未来人材ビジョンの資料によれば、GDPに占める、2010年~2014年の人材投資に占める割合は、日本では0.10%となっています。これに対して、米国では2.08%、フランスでは1.78%となっており、外国との比較では、日本は極めて少ないということがわかります。私は、日本での人材投資が少ない要因は、基本的に、従業員のスキルアップは従業員自身が行うものと考えられていたり、投資効率が見えにくい人材投資は避けたいと考える会社が多かったりするからではないかと思います。

その一方で、2021年の人材競争力ランキングは、米国が14位であるのに対し、日本は39位となっています。ちなみに、2013年に48位だった、中国の人材競争力ランキングは、2021年は、日本を抜いて36位になっています。このように、明確な因果関係は示されていないものの、人材投資と人材競争力ランキングの相関関係は明らかです。そこで、ここまでの内容からは、日本は人材投資を増やし、人材競争力を高めればよいという結論ということになると思いますが、実際は、そんな単純なことではないと思います。

もちろん、人材投資は、これからは間違いなく増やさなければならないでしょう。では、なぜ、日本では、これまで人材投資が積極的に行われてこなかったのかというと、それは、私は、日本では長期的な視点での経営戦略、人材戦略が実践されず、その場しのぎでの対応ばかり行われてきたからではないかと思います。これは、ある意味、経営が稚拙ということだと思います。確かに、ある意味、労働者が無気力になりつつあるということもあると思いますが、経営者としては、それを所与の条件として取り組まなければならないことも現実だと思います。

2023/4/20 No.2318