鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

活動基準原価計算

[要旨]財務家計に基づく原価計算は、適切な経営上の判断を行うにはものたりない部分があります。それを補うために、例えば、製品を完成させるまでの活動に基づいて原価を計算する活動基準原価計算など、管理会計に基づく原価の管理方法があります。[本文…

全部原価計算と直接原価計算

[要旨]製品を生産する際に発生するすべての原価を計算するものを全部原価計算といい、原価を変動費と固定費に分け、変動費だけを対象とする原価計算を、直接原価計算と言います。そして、直接原価計算は、管理会計の考え方に基づく原価計算です。[本文]…

標準原価と原価差異

[要旨]標準原価計算は、会計年度が終了すると、実際原価を計算し、標準原価との差額を原価差異として、売上原価などに計上します。この原価差異は、価格差異と数量差異に分けられ、それぞれを計算した後、両者を合計して算出します。[本文]前回は、科学…

実際原価計算と標準原価計算

[要旨]実際原価計算は、正確な原価計算ができるという長所がありますが、事後的にしか原価を把握できないという短所があります。そこで、科学的・統計的調査にもとづいて見積もって計算した原価である標準原価計算により、迅速に原価を把握できるようにな…

総合原価計算の種類

[要旨]総合原価計算にはいくつかの種類があります。それらは、単一の製品に対して行う単純総合原価計算、等級のある製品に対して行う等級別総合原価計算、組ごとに行う組別総合原価計算、すべての工程を対象とする単一工程総合原価計算、工程を分けて行う…

個別原価計算と総合原価計算

[要旨]原価計算は、原価の対象による区分で、個別原価計算と総合原価計に分けることができます。個別原価計算は、受注生産する製品に対して行う原価計算であり、総合原価計算は、見込生産で大量に製造する製品に対して行う原価計算です。[本文]前回は、…

原価計算の3つの区分

[要旨]原価計算の種類は、対象、性格、範囲の3つの区分によって、それぞれ2つに分けられます。具体的には、(1)原価の対象による区分→個別原価計算と総合原価計算、(2)原価の性格による区分→実際原価計算と標準原価計算、(3)原価の範囲による区…

原価と非原価

[要旨]製造原価は、製品を製造するために消費された時点では費用にはならず、その製品が販売された時点で費用になります。一方、非原価である販売費及び一般管理費は、支出された時点で費用となるので、期間費用とも言われます。[本文]前回は、財務会計…

原価とは何か

[要旨]財務会計の観点での、狭い意味での原価とは、日本の原価計算の慣行を要約した、「原価計算基準」に示されており、それによると、「経営における一定の給付にかかわらせて、把握された財貨または用役の消費を、貨幣価値的に表わしたもの」です。[本…

社長にしかできない仕事

[要旨]会社には、非連続的な意思決定や、企業風土の醸成など、社長にしかできない仕事があります。しかし、それらを、社長が認識していなかったり、実践を避けていたりすると、会社に社長がいないことと同じ状態になり、会社の事業運営が成行になってしま…

『経営』はヒエラルキーではなく職種

[要旨]経営者には、ファイナンス思考が必要であり、そのためには、ある程度、会計的な専門性も持たなければなりませんが、そのような観点から考えると、経営者は、サラリーマンが出世して就く、ヒエラルキーの上のポジションではなく、研究者や営業職と同…

社内で経営資源を配分する役割

[要旨]複数の事業を営む会社では、経営者は、限られた経営資源で最大の効果を得ることができるよう、事業間での利害を調整し、配分する役割があります。その判断を適切に行い、社内の各事業の責任者や、社外のステークホルダーに適切に説明できるようにす…

よい会社はよいバランスの上に成り立つ

[要旨]会社の事業は、顧客、従業員、株主などの異なる立場のステークホルダーの間で、うまくバランスをとることで、最大の成果を得ることができます。経営者は、そのバランスをとる役割を担っており、そのためには、会計的な裏付けを得た上で、ステークホ…

採算性を無視した販売促進費

[要旨]会社の中には、業界シェアや売上増加率などを重視するあまり、採算の得られない販売を行う場合があります。しかし、それは本質的な活動ではないことから、煩雑と思われる場合であっても、利益の管理を厳格に行い、従業員たちの価値観を統一すること…

リスクプレミアム

[要旨]リスクの低い事業には、コストの低い銀行融資などで、リスクの高い事業には、コストの高い出資などによって資金を調達することが基本です。中小企業の場合、資金調達の方法は銀行融資に、ほぼ、限定されるので、リスクの高い事業を行う場合は、自己…

WACCとROIC

[要旨]会社の業績は、損益計算書で黒字になっているかどうかで評価するだけでは不十分であり、株主への配当を支払っても、利益が得られているかで判断しなければなりません。そのためには、WACCやROICなどの指標で資本コストを意識しながら事業を…

健全な赤字と構造的な赤字

[要旨]会社の業績が悪化しているときは、新たな収益を得るための事業に投資する必要があります。そのことによって、会社が赤字になるときは、「健全な赤字」と言えますが、それを株主などに説明するために、ステークホルダーコミュニケーションが大切にな…

ステークホルダーコミュニケーション

[要旨]上場会社の経営者は、業績がよくないときは、責任の重さから、短絡的に収支状況をよく見せようとする誘惑にかられることがあるようです。しかし、企業価値を最大化するためには、長期的な観点で経営することが大切であり、そのためには、株主などか…

PL脳とファイナンス思考

[要旨]コンサルティング会社の共同代表の朝倉祐介さんによれば、日本の会社の多くは、短期的な利益を追求するPL脳によって経営されていることから、米国のアマゾンのように、長期的に企業価値を高めようとする会社が日本ではなかなか現れないとご指摘し…

CCCの活用法

[要旨]CCCを改善するためには、売上債権回転日数や棚卸資産回転日数を減少さるなどの方法があります。そのためには、単に、活動の規模を大きくするだけでなく、事業活動の速度を速めることが大切です。このように、CCCは、日数や速度といった、時間…

キャッシュ・コンバージョン・サイクル

[要旨]キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle、CCC)とは、現金循環日数と訳されます。これは、経常運転資金が、1日あたりの売上高の何倍かを示す指標です。[本文]今回も、前回に引き続き、認定事業再生士…

会社の資金が残らない理由(3)

[要旨]中小企業経営者の方の中には、会計的な知識が乏しいために、資金管理のための適切な活動ができないことがあります。もちろん、経営者の方が、会計に関して高い専門性を持つ必要はありませんが、経営者は、ひと、もの、かねの経営資源を管理する以上…

会社の資金が残らない理由(3)

[要旨]中小企業経営者の方の中には、会計的な知識が乏しいために、資金管理のための適切な活動ができないことがあります。もちろん、経営者の方が、会計に関して高い専門性を持つ必要はありませんが、経営者は、ひと、もの、かねの経営資源を管理する以上…

会社の資金が残らない理由(2)

[要旨]資金繰表を作成しない会社は、資金管理が成行となり、資金不足が起きるときも、その場になって初めて把握できることになります。資金残高の見通しは、前もって完全に把握はできないものの、自社の目指す方向に近づけるための、能動的な活動ができる…

会社の資金が残らない理由(1)

[要旨]資金不足を生じる会社の要因のひとつは、事業計画書を作成していないこがあげられます。事業計画書(=計画損益計算書)を作成することで、実行しようとする事業のシミュレーションをすることができ、事前にそれををより研ぎ澄まされたものとするこ…

コンピテンシートラップと両利きの経営

[要旨]事業でイノベーションを起こすには、知の探索と知の深化の両方が必要です。しかし、会社は短期的な成果を求めがちであることから、知の探索を怠りがちになり、このことはコンピテンシー・トラップと言われます。そこで、これからの経営者は、両方の…

『何も聞かないでください』オーラ

[要旨]ピューロランド社長の小巻さんは、業績がかんばしくなかったピューロランドを改善するには、従業員にやる気があるのに、それを十分に発揮できていないことにあったということを見抜き、毎日、10回の朝礼を開くことで、従業員の接客能力を高め、顧…

他人の茶碗を割る権利はない?

[要旨]補助金は、本来は、困っている会社や地域を助ける制度なのですが、逆に、困っている会社や地域を、自立させない制度にもなっている面があります。したがって、強い意志をもって、補助金に依存し過ぎず、早期に自立を目指すことが大切です。[本文]…

中小企業の採用にはコンセプトが重要

[要旨]現在、中小企業は、人手不足で倒産する例が増加しており、事業の継続のためには、人材採用能力を高める必要があります。そのためには、「ニッチな魅力をコンセプトとして打ち出す」こと、「よい職場によい人が集まるという原則に沿った採用活動」を…

言行不一致コピーをなくすには

[要旨]「お客さま第一」というキャッチコピーを掲げる会社はたくさんありますが、経営者の考える「お客さま第一」と顧客からみたそれにずれがあるため、顧客から、「あの会社は言行不一致」と受け止められてしまうこともあります。そこで、どのような方法…