鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

中小企業の採用にはコンセプトが重要

[要旨]

現在、中小企業は、人手不足で倒産する例が増加しており、事業の継続のためには、人材採用能力を高める必要があります。そのためには、「ニッチな魅力をコンセプトとして打ち出す」こと、「よい職場によい人が集まるという原則に沿った採用活動」を行うが必要です。


[本文]

中小企業診断士の窪田司先生のご著書、「小さな会社こそが絶対にほしい!『化ける人材』採用の成功戦略」を読みました。同書は、タイトルからも分かる通り、中小企業向けの人材採用のノウハウが詰まった本なのですが、やや、中級者向けの内容になっています。私は、人材採用についてはあまり詳しくないので、同書を読み進めながらうなずくばかりでした。したがって、浅学な私は、同書を解説するようなことはできないため、同書を読んで重要だと感じたことをいくつかご紹介したいと思います。

まず、ひとつめは、近年は、人手不足による倒産が増加しているものの、資金繰については公的支援を得やすい一方で、人材難には公的支援は期待できない状況にあります。そこで、人材獲得については、中小企業は、自ら採用する能力を高めなければならなくなっているということです。繰り返しになりますが、会社の存続は、資金調達能力よりも、人材獲得能力に比重が移りつつあるということに注意しなければなりません。

ふたつめは、中小企業が円滑な採用を行えるようにするには、「ニッチな魅力をコンセプトとして打ち出す」必要があるということです。その理由は、単に、採用ノウハウだけではよい人材を採用できるわけではないからです。そして、中小企業の場合、差別化集中戦略を採るべきということです。この、差別化集中戦略は、ポーターの提唱した、マーケティングの基本戦略のひとつですが、これを人材採用において実施するということです。具体的には、「特定セグメントの求職者が選びたくなる、他とは異なる魅力をコンセプトとして打ち出す」ということです。

みっつめは、「よい職場によい人が集まる」という原則に沿った採用活動を行うということです。採用は、直接的な活動だけで奏功するのではなく、長期的に職場のレベルアップも行わなければならないということです。よい人材を集める目的は、会社の業績を高めることですが、業績が高まればよい人材も集まるという、よい循環をつくらなければなりません。少なくとも、採用活動だけに注力すればよいという、近視眼的な考え方で採用活動に臨んでいては、よい結果は得られないでしょう。以上が、私が窪田先生のご著書を読んで注目したところです。いま、人材採用に苦心している、人手不足倒産を回避したいという経営者の方は、ぜひ、同書をお手元にとって参考にしていただきたいと思います。

2022/3/4 No.1906

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