鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

言行不一致コピーをなくすには

[要旨]

「お客さま第一」というキャッチコピーを掲げる会社はたくさんありますが、経営者の考える「お客さま第一」と顧客からみたそれにずれがあるため、顧客から、「あの会社は言行不一致」と受け止められてしまうこともあります。そこで、どのような方法で顧客を重視をするのか、具体的な行動をコピーにすることで、誤解されないようにすることが大切です。


[本文]

コピーライターの川上徹也さんの、ITMediaオンラインへの寄稿を読みました。川上さんによれば、例えば、「お客さま第一」というキャッチコピーを掲げておきながら、実際には、顧客から見た「お客さま第一」を実践していないと、その会社の顧客は、その会社を「嘘つき」と感じるようになり、印象を下げてしまうことになるということです。私も川上さんと同じ考えです。

「お客さま第一」や、「地域密着」、「社会貢献」などをキャッチコピーにしている会社は、珍しくなく、そして、その会社の経営者の多くは、顧客を欺こうとしてそのようなコピーを掲げているわけではないということも理解できます。「お客さま第一」などを訴える会社の経営者の方は、自社は、顧客に寄り添ったビジネスを実践しようとしていると、顧客に伝えたいのでしょう。

ところが、経営者の考える「お客さま第一」と、顧客の考えるそれにずれがあることから、安易に、「お客さま第一」を掲げると、顧客から見て期待外れになってしまうのでしょう。川上さんは、「お客さま第一」をキャッチコピーにするなら、相当の覚悟を持つべきと述べておられますが、私は、もし、顧客からみた「お客さま第一」を確実に実践できそうにないのであれば、経営者の考える「お客さま第一」を、もっと具体的なものにすればよいと思っています。

例えば、ドミノピザの「30 minuetes or free」は、誤解の余地のないコピーでしょう。また、町田市の家電販売店ヤマグチでは、「ヤマグチはトンデ行きます!」をキャッチコピーにして、4時までに電話した顧客には、当日中に修理訪問することを明確にしています。

いずれも、顧客を重視した対応ですが、その方法を具体的に示しているため、誤解されず、また、顧客重視の姿勢が印象付けられる効果もあると思います。むしろ、「お客さま第一」という抽象的なキャッチコピーを打ち出す会社は、どのように顧客を重視しているのか、具体的な方針が明確でないために、安易に「お客さま第一」と唱えてしまっているのかもしれません。そうであるとすれば、顧客からの信頼は得られないことは当然でしょう。

2022/3/3 No.1905

f:id:rokkakuakio:20220303001208j:plain