鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

原価とは何か

[要旨]

財務会計の観点での、狭い意味での原価とは、日本の原価計算の慣行を要約した、「原価計算基準」に示されており、それによると、「経営における一定の給付にかかわらせて、把握された財貨または用役の消費を、貨幣価値的に表わしたもの」です。


[本文]

今回から、会計に関する知識として、原価について、複数回に分けて説明していきます。まず、原価とは何かというと、原価はさまざまなものを指すものとして使われています。例えば、売上原価と販売費及び一般管理費を合わせたものを、「総原価」と呼ぶ場合がありますが、これは、管理会計の観点による捉え方です。この考え方が誤っているわけではないのですが、ここでは財務会計の観点からの狭い意味での原価について説明して行きます。

では、財務会計の観点から、原価とはどういうものかを理解するには、昭和37年に大蔵省会計審議会によって示された、「原価計算基準」が参考になります。これは、日本の原価計算の慣行を要約したもので、現在の日本で行なわれる原価計算の規範になっています。同基準によると、「原価とは、経営における一定の給付にかかわらせて、把握された財貨または用役の消費を、貨幣価値的に表わしたものである」と述べています。

端的にいえば、「製品を完成させるために消費された財貨や用役を金額で表わしたもの」ということです。具体的には、「材料費」(副資材費や消耗品費も含む)、「労務費」(製造にかかわる従業員への給与など)、「製造経費」(製造に関連して発生する減価償却費、水道光熱費、固定資産税など)を指します。逆に、原価でない費用は「非原価」に分類されます。非原価とは、販売費、一般管理費、支払利息、その他製造にかかわらない経費などを指します。原価と非原価については、次回、改めて説明します。

2022/3/23 No.1925

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