鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

経営理念と経営戦略

[要旨]

経営理念は、会社の長期的な活動のよりどころとなるという点においては、経営戦略と共通していますが、経営理念は、会社の目的や目標といった、ゴールを示している点で異なります。また、経営理念を明確にすることで、社内の価値観が明確になったり、顧客や株主などからの支持を得ることが容易になったりします。


[本文]

前回、経営戦略は、他社に勝つための総合的・長期的な計略であり、経営環境が、年々、厳しくなってきていることから、それに対応するための工夫として、必要性が高まってきているということについて説明しました。今回は、経営理念と経営戦略の違いについて説明したいと思います。

会社によっては、経営理念に代わるものとして、基本理念、企業理念、コーポレート・アイデンティティ(CI)などがありますが、これらは、おおよそ同じものと考えることができます。そして、経営理念と経営戦略は、「会社の長期的な活動のよりどころとなる」という点では共通しています。しかし、前回、説明したように、経営戦略は、どのように事業活動を行うのかという方法を示すものであるのに対し、経営理念は、会社の目的や目標といった、ゴールを示しているという面で異なります。

また、経営戦略は、会社の内部で、実際に事業活動を行う、役員や従業員に対して示されるものであるのに対し、経営理念は、顧客やその他のステークホルダーに対しても、広く示されます。例えば、経営理念を自社のホームページに記載していたり、会社の受付や応接室などに経営理念を掲げている会社は多いと思います。では、経営理念はなぜ作られるのでしょうか?

その目的のひとつは、社内の役員、従業員へ、事業活動の基本的な基準を示すことであると考えられます。こうすることで、事業活動において、役員、従業員の間での判断にばらつきが出ることを減らすことができます。また、基本的な基準が明確であるため、社内での意思疎通も行いやすくなります。もうひとつの目的は、事業活動の意義を示すことと考えることができます。これによって、従業員のモラール(士気)が向上したり、顧客や株主などからの支持を得ることが容易になります。


2022/4/5 No.1938

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