鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行職員は融資取引先の評価を口にしない

[要旨]

銀行に定期的に自社の情報を伝えるようにすることで、銀行との信頼関係が深まり、銀行の本音を聞くことができるようになるなど、融資取引がより円滑になります。


[本文]

前回、融資取引をしている銀行に、決算書を提出するだけでは、自社のことを十分に理解してもらうことはできないということを述べました。今回は、さらに、銀行とのコミュニケーションを緊密にすることの利点について述べたいと思います。銀行は、明らかに融資取引を解消しようとしている相手でなければ、一般的には、融資取引先に対する銀行の評価を、その会社の社長に伝えることはありません。仮に、会話の中で、会社の評価に触れることがあったとしても、大抵は、社交辞令を織り交ぜて話します。

なぜなら、銀行職員がその会社の評価を口にしたときに、それが、その会社経営者の認識と相違していたとすれば、摩擦が起きることになりかねないので、それを避けようとしているからということは、容易に理解できるでしょう。したがって、融資取引をしている会社の経営者とすれば、自社に対して銀行はどう評価しているかという本音の部分は、なかなか聞く機会はないというのが現実です。ところで、経営者の方が、銀行の本音を知りたいかどうかは別として、私は、知っておくことの方がよいと考えています。

なぜなら、銀行が正しく自社のことを理解していないこともあるかもしれないし、逆に、経営者の方が誤って理解していることを銀行の評価を聞いて気づくこともあるからです。そして、それらが分かれば、両者の認識の差が縮まり、融資取引がより円滑になっていくと思います。とはいえ、経営者の方が、銀行の本音を聞くことは、怖い場合もあるかもしれませんが、できれば、聞き出すことをお薦めします。

とはいえ、いきなり本音を教えて欲しいと言っても、直ちに、銀行は本音を言ってくれるとは限らないでしょう。そこで、自社の業況を自ら分析して、銀行に報告しているうちに、徐々に、銀行の見方も聞き出すことができるようになるでしょう。そして、そのようなやり取りが積み重ねられて行けば、銀行との信頼関係が築かれ、銀行側が、本音の部分も伝えてくれるようになるでしょう。そのような関係になれば、銀行に、少しは自社の無理を聞いてもらえるようになるかもしれません。

 

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