鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行に定例訪問したとき何を説明するのか

[要旨]

銀行に自社の決算書の内容を説明するときは、「前期は、●●●に注力したので、その結果が、決算書の●●●の部分に反映されている」というような、実践した活動とその結果を報告するとよいでしょう。


[本文]

前回、銀行とのコミュニケーションを緊密にすることで、両者の信頼関係が深まり、銀行の融資判断に有利になるということについて述べました。ところが、このような助言をしても、会社経営者の方の中には、「決算書の数字については、銀行に見てもらえばわかってもらえると思うけれど、自社の強みなどは、どのように説明をすればよいのか」という疑問を持つ方もいると思います。

それについては、銀行は、融資取引をしている会社に、高度な分析結果を報告してもらうことを望んでいるわけではないので、「前期は、●●●に注力したので、その結果が、決算書の●●●の部分に反映されている」という事実を説明するだけでも十分です。例えば、飲食店の場合、「前期は、クロスセリングを実践することにより、客単価を上昇させることに注力したので、決算書の売上総利益が、前々期比で10%増えました」というような説明の仕方をすればよいと思います。その際は、客単価については、一般の中小企業の決算書には記載されていないので、前々期と前期はいくらだったかを、銀行に伝えるとよいでしょう。

また、効果は得られていないものの、何らかの改善活動をしているものも、報告をすることで評価が高まることがあります。例えば、製造業で、工員のスキルを高めるために、元受けの会社に研修を受けさせているときは、「研修費が増加し、前期は営業利益が減少しましたが、今期以降、研修を終了した工員が増加することで、単価の高い製品の納品数も増加するので、前期の利益減少額以上に利益額が増加する見込みです」などと伝えれば、銀行から正しく自社の状況を理解してもらえます。

もちろん、このような説明ができるようになるには、当然のことながら、何らかの改善策を行っていることが前提になります。日々、努力はしていても、単に、成り行きで事業に臨んでいるだけでは、決算書の説明も、単に、結果だけの説明しかできません。逆に言えば、決算書を見ているからこそ、改善を要する点もわかるし、その改善のための改善策を実施し、その結果を報告することもできるということになります。

 

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