[要旨]
中小企業でも大企業のように部署を作ることは珍しくありませんが、権限が社長に集中しているままでは、組織的な活動ができなので、部署を作ると同時に、権限も委譲できるよう、人材育成にも注力することが大切です。
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経営コンサルタントの板坂裕次郎さんのブログを読みました。ブログの要旨は、中小企業でも大企業のように、営業部、総務部、人事部などの部署を作るけれど、権限は社長しか持っていない会社が多いので、そういう会社は部署を作る意味があまりない、というものです。私は、いわゆるオーナー会社では、社長に権限が集中することは仕方がないと思っています。そして、それが決して間違っているとは限りません。しかしながら、会社の業績を伸ばしたり、事業を拡大しようとするときは、権限を委譲しなければ、なんでも社長がひとりで決めている、「個人商店」の状態から抜け出すことができないということも事実だと思います。
私は、板坂さんのブログを読んで感じたことは、会社の事業を拡大したり、業績をよくしようとする場合は、やはり、部署を作るだけでなく、権限も委譲していく必要があるということです。部署を作ると、それぞれに役割が分担されることは確かですが、それだけでは、定型的な仕事を除き、社長からの指示がなければ自律的な活動はできません。そのような状態が続けば、効率的、かつ、創造的な活動ができるようにはならないでしょう。でも、現実には、「従業員には権限を委譲できる状態ではないので、まだ社長が決済せざるをえない」と考える経営者の方も多いと思います。私も、そのような会社が多いということは理解できます。だからこそ、それができるように従業員を育成することが、社長の重要な役割であると、私は考えています。
このように書くと、「それは建前だ」と考える方もいると思いますが、「社長ひとりと、その他大勢」という会社と、「会社全員のチームワークで業績向上に取り組んでいる」という会社では、後者の会社の方が業績はよくなるということは、容易に理解できるでしょう。もちろん、そのような会社組織は一朝一夕では作れないし、また、簡単ではないことも事実です。でも、経営者がその難しい課題に取り組むかどうかで、長期的には、業績に差が出てくるのだと思いますし、私が中小企業の事業改善をご支援するときは、この点を中心にご支援をしています。