鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業計画に基づく活動を銀行は評価する

[要旨]

会社が、個人商店の状態から、組織的な活動を行うようにするためには、人材育成などから着手する必要があります。ただし、銀行に対しては、事業計画を作成した上で、実績の差異を分析し、その結果を定期的に報告することによって、経営者が管理活動を重視し、会社が組織的な活動を実践できるようにしようとしていると、銀行から評価されるようになります。


[本文]

前回は、社長がプレーヤーになっている状態の会社は、銀行から見て個人商店と同じ状態と受け止められるけれど、社長がマネージャーの役割に徹し、事業活動が組織的に行われている会社は、銀行は融資をしても、社長を保証人にすることは適切でないと判断するだろうということを説明しました。

では、事業活動を組織的に行い、それを銀行に理解してもらうにはどうすればよいでしょうか?とはいえ、目指す状態は明確なので、それを目指すだけとも言えるでしょう。しかし、社長の中には、いつまでもプレーヤーでいたいと考える方もいるので、そのような方は、無理に組織的な活動を行う体制を目指す必要はないと思います。ただし、そのような方針をもっていると、銀行からは、実質的には個人商店の会社という評価をされることになるので、注意が必要です。

話を戻して、事業を組織的にするにはどうすればよいのかというと、まず、従業員の方たちに権限委譲をすることであり、権限委譲ができるようにするために、従業員の方の育成に注力することから着手しなければなりません。この点は、早く事業を大きくしたいと考える経営者の方からみれば、遠回りのように感じるかもしれませんが、社長だけが全力で走っても、振り返ってみれば、誰も着いてこなかったという状況になってしまうことを避けるためには、人材育成はとても重要です。

ただ、この点について詳しく説明すると、膨大な量となってしまうので、銀行から組織的に活動していると思われるにはどうすればよいかということに絞って説明したいと思います。それは、事業計画を作成し、それに基づいて活動を行うことです。そして、3か月ごとに計画と実績の差異を分析し、その分析結果を銀行に報告に行きます。3か月ごとの報告が難しい場合は、1年ごとでも効果はあるでしょう。もちろん、事業計画を作成し、それに基づいて事業活動をするだけでは、組織的な活動をしているということにはなりません。

でも、事業計画を作成し、それを達成するために社長が業績の管理を行い、それを銀行に報告するという行動を見れば、銀行は、少なくとも社長は管理活動を重視し、個人商店の状態から組織的な活動を行う会社を目指していると受け止めるでしょう。また、これは、単に、会社が銀行から評価してもらい、経営者保証を解除してもらうために行う活動ととらえず、経営者の本来の役割と考えて取り組んでいけば、自ずと会社の業績も高くなるはずです。この続きは、次回、説明します。

2022/11/19 No.2166