鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

アカウンタビリティ

[要旨]

中小企業では、給与の査定方法が定められていないなど、従業員の方の処遇の決め方が不透明な会社は少なくありません。しかし、そのような会社は、従業員の方のモラールや定着率が下がり、経営に悪影響を与えます。したがって、経営者の方が説明責任を果たすことが大切になります。


[本文]

前回、銀行が融資をしないことへの批判が起きる要因のひとつは、銀行職員が、融資を断るにあたって、説明が不足していることが考えられるということについて書きました。この、コミュニケーションの不足については、当然、銀行職員と融資を受けている会社にだけ当てはまることではありません。

意趣返しではありませんが、会社と従業員の方にもあてはまります。その例として、経営コンサルタントの板坂裕次郎さんが、ブログに、次のようなことを書いておられました。すなわち、プロ野球選手の年俸は、その年のプレーを細かく記録して査定されるが、多くの中小企業では、根拠を示さずに給料が決まるので、モラールが下がってしまうことが多い、というものです。

このことについて理解していただくためには、多くの説明は不要だと思います。でも、なかなか実践されていないことも事実でしょう。さらに、組織の規模が小さい会社ほど、待遇の根拠の透明性は低くなっていきます。その一方で、待遇の査定基準を作るには、最初は労力がかかるので、それを避けようとする人が多いのでしょう。ただ、従業員の方のモラールを維持・向上させたり、定着率を高めようとするには、その労力は惜しむべきものではないと思います。

むしろ、査定基準がないことによって、従業員の方のモラールや定着率が下がると、それらをカバーするための労力の方が大きくなると思います。業績を高めるための基礎的な要員として、チームワークは需要になるので、どのようにして給料が決まるのかという基準を明確にする、すなわち、アカウンタビリティ(説明責任)を果たすことは、経営者の方にとって避けることができない、重要な役割のひとつであると、私は感じています。

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