[要旨]
デューデリジェンスは、主に、法務、会計・税務、ビジネス、システム、環境を対象に行なわれます。このうち、ビジネスについては、ポテンシャルについて確認が行われ、業績が向上しているときは、それが大きく評価されます。
[本文]
今回も、早稲田大学ビジネススクールの西山茂教授のご著書、「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」から、私が気づいた点について述べたいと思います。前回は、M&Aなどを行う際に、買収する会社に対して行なう調査のことを、デューデリジェンスといい、調査を行う要因のひとつは、貸借対照表の金額が、そのまま、妥当な買収価額ではないてめであるということを説明しました。今回は、デューデリジェンスの対象について説明します。
西山教授によれば、デューデリジェンスは、主に、法務、会計・税務、ビジネス、システム、環境を対象に行うそうです。法務は、労働組合や取引先との契約に問題がないかを確認します。財務・会計は、財務諸表が適切に作成されているか、税金の申告に問題がないかなどを確認します。ビジネスは、事業の状況、将来の見通し、人材の状況などを確認します。システムは、現在のシステムに問題がないか、買収する側の会社との統合に課題はないかなどを確認します。環境は、例えば、工場の敷地に土壌汚染などがないかなどについて確認します。
そして、西山教授は、法務、財務・税務、システム、環境については、マイナス方向に問題がないかを確認するものである一方で、ビジネスは、競争優位性、将来性、買収する会社との相乗効果の可能性など、前向きな内容の確認が行われるとと説明しています。この、ビジネスのデューデリジェンスは、いわゆる、ポテンシャルを確認するものであることから、業績が上向いていれば、買収価格も上昇するということになります。
2022/5/4 No.1967