鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

30人、100人、300人のカベ

今回も、前回の記事でご紹介した、野坂英

吾さんのご著書「資金30万円から100

億円企業をつくった社長が教える勝ち続け

る会社をつくる起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )の中から、

もうひとつ気になるポイントがありました

ので、ご紹介したいと思います。


それは、おおよそ次のようなものです。


「開業当初は、自分の言うことを素直に聞

いてくれそうな人ばかりを採用していた。


初期のうちは、それでうまくいったので、

正解だったと思う。


しかし、従業員数が30人を超えても、同

じタイプの従業員ばかりを雇っていると、

成長が頭打ちになる。


自分は、新たなことにはチャレンジするが

あまり拡散しないタイプだった。


しかし、真逆のタイプの人と仕事をするこ

とで、思いもよらない方向に事業を拡げて

いけるという可能性があることから、採用

の方針を変えた。


ただ、そのような人は、良薬となることも

あるが、劇薬にもなる可能性がある。


そこで、社内のリーダーには、会社を成長

させるために、当社にいなかったような感

性を持った人材を取り入れ、新しい取り組

みをしていくことにしたと理由を説明し、

協力を得ることで、新しい人材が劇薬では

なく良薬となるように対処してきた。


次に、従業員数が100人近くになると、

それまで共有できていた『暗黙の了解』が

機能しなくなる。


そこで、『暗黙の了解』をルールに落とし

込み、人が代わっても質を落とさない仕組

みが必要になる。


さらに、従業員数が100人を超えると、

コミュニケーションの維持が難しくなる。


当社では、毎年、社長が全社員と30分ず

つの面談をしていたが、従業員数が100

人を超えてから、その継続が難しくなり、

面談を役員で手分けするようにした。


しかし、300人を超えるとそれも難しく

なり、面談を課長や店長に任せるようにし

た」というものです。


すなわち、会社の規模が大きくなるにつれ

て、タイプの異なる人材の確保、ルールの

明文化、権限の委譲などの対応が必要にな

るということを野坂さんの経験からご説明

されておられます。


これについては多くの方がご理解されると

思います。


しかし、これを実践している会社は少ない

と私は感じています。


例えば、経営者の方が「売上高を増やした

い」という意向を持っていながら、その一

方で、組織規模を大きくするための具体的

な活動が実践できていないために、自らの

考えを実現できないという会社を見ること

がしばしばあります。


売上高を増やすには、経営者の方がたくさ

ん働けばよいという考え方は必ずしも誤っ

てはいませんが、それは、事業規模が小さ

い段階にのみ当てはまることです。


これも多くの方が理解していると思います

が、事業規模が大きくなるにつれて、経営

者の方は、軸足を事業現場からマネジメン

トに徐々に移さなければならなくなってい

きます。


ただ、実際には、軸足を移すことはなかな

か難しいようだということも、経験的に理

解しています。


というのは、多くの経営者は、事業のスキ

ルに自信があるから起業しており、マネジ

メントのスキルに自信があるから起業する

という方は少ないからのようです。


(そういう自分も、その一人です)


とはいえ、マネジメントスキルは、実際に

起業してから学ぶことも可能だと私は考え

ています。


そこで、繰り返しになりますが、経営者の

方が、事業を拡大しながら、事業現場から

徐々にマネジメントに注力するようにする

ことが、組織拡大、売上増加につながるポ

イントになると私は考えています。


今回の結論は、会社の成長にしたがって経

営者が携わるべき仕事の比重も変わってく

るので、いま、売上が伸び悩んでいる会社

経営者の方は、組織拡大のために軸足を現

場からマネジメントに移していくことをお

薦めするということです。

 

 

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