[要旨]
北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんは、カスタマー業務担当者の中には、電話対応はうまいが、メールは苦手という社員がいる一方で、わかりやすいメールは書けるのに、いつも電話では緊張してしまい、予期せぬ質問をされると、しどろもどろになる人もいたことから、「しゃベらない接客業」というコピーで求人を行ったところ、予想を超える応募があり、優秀な人を採用することができたということです。
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今回も、前回に引き続き、北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんのご著書、「売上最小化、利益最大化の法則-利益率29%経営の秘密」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、木下さんは、新人マネジャーが部下が成長しないことで悩んでいるときは、部下は上司によって成長するのではなく、部下自身が成長しようとして成長すると伝えるそうですが、それは、部下の成長を待つよりも、業務の仕組み化を進め、あまり能力が高くなくても業務が遂行できるようにすることが大切であり、そのような仕組み化を行う能力がマネジャーには求められているからだということについて説明しました。
これに続いて、木下さんは、人材採用の方法について述べておられます。「作業ベースでの業務分類を始めたのは2010年頃だった。前述したように、カスタマー業務が一人前にできるまでに時間がかかるのが悩みだった。一人ひとりの仕事の様子を見ると、電話対応はうまいが、メールは苦手という社員がいた。電話では言われたことにパッパッと答えているが、伝えるベきことを整理してにメールを書くのに時間がかかった。一方、わかりやすいメールは書けるのに、いつも電話では緊張してしまい、予期せぬ質問をされると、しどろもどろになる人もいた。
そこでカスタマー業務を分類し、必要な能力のある人を募集した。メール対応スタッフは『しゃベらない接客業』とコビーを変えて募集してみた。『お客様に直接会わなくてもいい、電話もしない顧客対応スタッフです』という求人広告に予想を超える応募があり、優秀な人を採用できた。情報を整理して相手に伝わるよう構成する能力が必要なので、採用試験では『こういうトラプルが起きました、これについてお詫びのメールを書いてください』という課題を出した。
採用した人たちはメールの文章がうまいので、今では総合職社員が文章をチェックしてもらうほどだ。商品カウンセリング課は、健康や美容の相談がおもな仕事なので、管理栄養士、コスメコンシェルジュなどの資格がある人を採用した。受注処理専門スタッフ、変更・対応専門スタッフなどは、事務処理能力の正確さが求められる。独自のケアレスミスチェックテストをつくり、その成績優秀者を採用した」(272ページ)
木下さんは、あえて、得意分野が異なる人を採用して、組織全体として長所を活かすことができるようにしています。これは、組織活動の大きなメリットということができるので、逆に言えば、個性が似た人ばかりを採用してしまうと、このメリットを活かすことはできません。
そして、このことは、容易に理解できることであるとは思うのですが、中小企業経営者の方の中には、自分と同じ価値観の人を採用してしまう傾向があるようです。例えば、営業系の社長は、営業系の人を多く採用したり、技術系の社長は技術系の社長を多く採用したりします。それは、社長と得意分野が同じ人が社内に多くいれば、事業活動も円滑に進むという理由によるものだと思います。
また、これは、かつて、ある中小企業経営者の方から聞いたことなのですが、「自社は規模が小さいので、『稼げる人』でなければ採用できない」と言っておられました。「稼げる人」とは、自分の給料分の利益を自分で獲得できる営業の能力がある人のことのようです。すなわち、「自社で雇った従業員には、自分の『食い扶持』は自分で稼いでもらいたい」ということなのだと思うのですが、それでは、組織のメリットを活かすことができないし、そもそも、自分の「食い扶持」を自分で稼ぐことができる人であれば、会社に雇ってもらう必要はないのに、おかしなことを考える方だなぁと思いました。
話を戻すと、得意分野が社長と同じ人を集めたいという気持ちも理解できなくもないのですが、前述のように、得意分野が同じ人ばかりの人の組織は、組織のメリットを活かすことができません。繰り返しになりますが、得意分野の同じ人同士であれば、経営者としては「居心地」が良くなるのだと思いますが、さまざまな人がいるから組織なのであり、そういった人たちをまとめることが、経営者の重要な役割なのだと考えなければならないのだと思います。
2026/4/29 No.3423
