鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

勝ち続ける会社をつくるには

1995年に、リユース商品販売業のトレ

ジャーファクトリーを創業し、2007年

東証マザーズに上場(2014年に1部

へ市場変更)させた野坂英吾さんのご著書

「資金30万円から100億円企業をつ

くった社長が教える勝ち続ける会社をつく

る起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )を拝読しま

した。


この会社には、事業を大きくしようとして

いる会社経営者の方にとって大いに参考と

なる事例が豊富に書かれていますが、経営

コンサルタントとして中小企業の支援をし

ている私にも共感できることがたくさん書

かれていたので、その中からいくつかのポ

イントをご紹介したいと思います。

 

(1)好きなことをで起業しない


成長を念頭に置いて起業するなら、好きな

ことを起業の基準にしない方がよい。


なぜなら、ビジネスの選択の幅が狭まって

しまったり、好きなことに対しては客観的

な視点が持ちにくくなったりするからだ。


例えば、ギターを好きな人がギター店を開

業すると、自分の好きなブランドだけを

扱ったり、廉価版は扱わなかったりするな

どして、客層を限定してしまう。

 

(2)業界の常識にとらわれない


リユースショップを開業する前に、既存の

リユースショップ48店を見て回り、店主

から話を聞いたりした。


その結果、この業界には事業の改善の余地

があることが分かった。


例えば、商品を汚れたまま陳列している、

故障に対する保証をしない、商品に値札を

つけないなど、他の業種では当たり前のこ

とをしていなくても、リユースショップ業

界ではそれが当たり前になっていることが

分かった。


そこで、自分がリユースショップを開業し

たらば、値札をつけ、保証を行い、きちん

と接客するだけでも大きく差別化できると

確信した。

 

(3)事業計画書はビジネスを磨く


事業計画書を作成すべき理由は2つあり、

そのひとつは、現実を正しく理解するため

だ。


計画を立てずに事業を始めた時と異なり、

計画を立ててから事業を始めれば、実績と

の乖離を確認することで、自社の業況がよ

いのか悪いのかを把握することができた

り、計画とのギャップが大きいときはそれ

を究明することで改善策を講じることがで

きる。


もうひとつは、先輩経営者やアドバイザー

から有用なアドバイスをもらえるようにな

るからだ。


自分で作った事業計画書は、売上、客数、

コストを甘く見積もりがちだが、それを他

者に見せるとさまざまな指摘をしてもらう

ことができ、計画をブラッシュアップする

ことができる。


もし、事業計画書がなければ、そのような

アドバイスをしてもらうことができない。

 

ここまで3つのポイントを引用しました

が、これらがなぜ大切かということを改め

て説明する必要はないでしょう。


では、なぜこれらのポイントを引用したか

というと、これらは大切だと認識されなが

らも、なかなか実践はされないものの代表

的なものだからです。


事業を起こした方の中には、自分の好きな

ことを事業にしたい、見込み客からどう評

価されるかにかかわらず自分たちのやり方

で事業をしたい、事業を営むことが最も重

要なのだから、計画を作る必要性はない、

または、あえて他者から助言をもらうよう

なことは必要ない、と考える人が少なくな

いと、私は経験的に感じています。


だからといって、経営者の方は、自分のや

りたいことを我慢して、前述のようなポイ

ントを優先して実践するべきだということ

も、直ちに言えないと思っています。


なぜなら、自らがトップに立ち、リスクを

とって起業したにもかかわらず、自らのや

りたいことがなかなかできないということ

になれば、起業しようと考える人が少なく

なってしまうからです。


ただ、経営者の方が、自分の要望を優先し

すぎてしまうことも、野坂さんが指摘して

いるとおり、事業が拡大せず、結果として

経営者の方の思いも実現できなくなってし

まいます。


この問題については、最終的には、経営者

の方がどこで折り合いをつけるかというこ

とになると思います。


ただ、これは私の考えなのですが、自社の

事業を大きくしたいと考えている経営者の

方は、いったん、事業を大きくすることそ

のものを自らの目標とすればよいのではな

いかと思っています。


事業を大きくすることを目標とすれば、そ

のためには野坂さんの指摘するようなポイ

ントも能動的に実践できるようになるので

はないでしょうか?


そして、事業がある程度大きくすることが

できれば、もともと自分がやってみたいと

考えていた事業へも展開できる余裕が出て

くるものと私は考えています。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20180527200943j:plain