鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

教育することがビジネスそのもの

今回も、前回の記事でご紹介した、野坂英

吾さんのご著書「資金30万円から100

億円企業をつくった社長が教える勝ち続け

る会社をつくる起業の教科書」

( https://amzn.to/2xlGoR4 )の中から、

さらに気になるポイントがありましたので

ご紹介したいと思います。


私も顧問先の事業改善のお手伝いをする中

で、従業員の方の育成には、経営者の方と

一緒に苦心した経験があります。


相手が個性を持った方たちですから、そう

簡単には経営者の方の思うようにならない

のが、人材の育成です。


これについては、著者の野坂さんもご苦労

されたようです。


野坂さんも、創業当初はなんでも自分で実

践してみないと気がすまなかったそうです

が、事業規模が拡大するにつれ、その限界

を感じ、人材を育成して仕事を任せなけれ

ばならないことに気づいたそうです。


そこで、「事業の拡大=人材の育成」とい

うように考えるようになったそうです。


ところが、当然、その人材の育成は一朝一

夕に行かなかったそうです。


だからといって、決して、野坂さんが何か

魔法のような手法を編み出したということ

でもないようです。


それは、結論として、野坂さんの視点を変

えたということのようです。


すなわち、「育たない人はいない、人が育

つかどうかは経営者次第」と考えるように

したそうです。


具体的には、次のように考えて部下に接し

ていたそうです。


(1)創業時は自分も素人であったことを

思い出し、初心者の立場にたって部下に仕

事を教えるようにする。


(2)経営者が望む能力の70%を最低ラ

インとする人が多いが、それは部下から見

れば150%の完成度を与えられていると

感じてしまうので、経営者が望む能力の

50%を達成できれば部下を認める。


(3)多くの人を採用すると、まったく仕

事ができない人も入ってくるので、そのよ

うな人に合わせて指導ができるような工夫

をすること。


主に以上のように野坂さんは考えていたそ

うですが、まさに人材育成に王道なしとい

うことなのでしょう。


多くの経営者の方は、効率的に、簡単に、

短期間で即戦力となる人材が欲しいと望ん

でいると思いますが、私は、そのような考

え方はあまり現実的ではないと経験的に感

じています。


なぜなら、すでに優秀な状態になっている

人材を雇うには、それなりの報酬や、会社

の職場環境が必要になります。


これについては、野坂さんもご著書に書い

ていますが、「創業期に、ひとりでに優秀

な人が来てくれるようなことはまずない。


海のものとも山のものともわからないよう

ベンチャー企業に、誰が見ても優秀な人

材が入ってくる確率は低いだろう。


しかし、それを嘆いていても何も前に進ま

ない。


そこで、経営者が考えるべきことは、いま

会社で働いてくれている人の実力をいかに

高めるべきかであり、まだまだ原石の状態

のスタッフを育て上げていくしかない。


仕事ができない人たちをしっかりと教育す

ることが、ビジネスそのものであると考え

ることが大切だ」(138ページ)


今回の結論は、野坂さんの言葉の通り、

「教育することが、ビジネスそのもの」で

あり、それは効率化したり省いたりするこ

とができない、経営の所与の課題だという

ことです。


現在は、経営者の方がこれを認識していな

いと、起業に失敗してしまう可能性が高く

なると私は考えています。

 

 

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