鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

スターバックスで働くこと自体が報酬

[要旨]

スターバックスコーヒージャパンの元CEOの岩田松雄さんは、従業員が、宝くじで3億円が当たっても勤め続けたい会社にしようとしていたそうです。すなわち、スターバックスで働くこと自体を報酬となるようにしようとしていたそうです。このように、従業員に満足してもらうためは、単に、給料を上げるだけでは足らず、達成感や成長を感じる環境をつくらなければなりません。


[本文]

スターバックスコーヒージャパンのCEOなどをお務めになられた、経営コンサルタントの岩田松雄さんのご著書、「今までの経営書には書いていない新しい経営の教科書」を拝読しました。同書で、岩田さんは、スターバックスのCEOのとき、同社を、「ボランティア活動のような組織」にしたかったと述べておられます。「『どんな会社を作りたいか』と問われると、私は、『もし、社員が、3億円の宝くじに当たったとしても、勤め続けたいと思ってくれる会社』と答えます。

3億円を手にした人に、金銭的な意味で、働く理由はほとんどないでしょう。それでも、現在の勤務先で働き続けたいと思うか、私は、経営者として、そんなNPOのような企業を作りたいと思っていました。例えば、店舗スタッフにとって、スターバックスは、決して給料が高いというわけではありません。他に、もっと高い給料の会社はあります。さらに、スターバックスで、店長まで経験していれば、他社から引く手あまたです。

しかし、そう簡単には、パートナーの皆さんは、辞めようとしません。それは、スターバックスが大好きだからです。ミッションに共鳴した仲間と働くのが楽しくてしょうがないのです。お金以上に、はるかに大切なものがあるのです。スターバックスで働くこと自体が報酬になっているのです。経営者として、社員の皆さんがミッションに共鳴し、誇りを持って働いていること自体がとても楽しい---『ボランティア活動のような組織』を作ることを目標にしなければいけないと思っていました」(42ページ)

この岩田さんの考え方は、多くの方がご理解されると思いますが、経営理論では、動機づけ-衛生理論で説明されるものです。すなわち、従業員は、給与を上げることで不満はなくなるけれども、それだけでは満足はしません。そこで、従業員に満足してもらうためには、達成感を感じさせたり、承認を与えたりすることなどの働きかけが必要になるというものです。岩田さんの言う、「スターバックスで働くこと自体が報酬」という説明は、満足してもらうことを言い現わしたものと言えるでしょう。

ところが、経営者からみて、従業員に不満を解消してもらう働きかけは、ある程度は容易に実践できるのですが、達成感を感じさせたり、承認を与えたりということは、なかなか難しいというのが、実情のようです。これは、経営者に求められるスキルのひとつだと、私は考えています。そこで、経営者のスキルが低いままであれば、従業員に不満を解消させることで精一杯になり、満足してもらう働きかけまでを行うことができなくなります。すなわち、この従業員への働きかけの能力の差が、業績の差になって現れるということだと思います。

2023/5/26 No.2354