鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

経営者保証を外すことは難しくない

平成25年に経営者保証ガイドラインが公

表されてから、多くの中小企業では、経営

者を連帯保証人にすることなく、融資を受

けたいと考えるようになったようです。


(ご参考→ https://goo.gl/GPWFx6


その一方で、銀行はなかなか経営者の保証

を外してくれないという不満を持つ中小企

業経営者の方も多いようです。


私は、そのような話を耳にすると、疑問を

感じます。


なぜなら、私が銀行に勤務している時は、

経営者の保証なしの融資には、決して消極

的ではなかったからです。


確かに、業績があまりよくない会社や、経

営者と会社の間で公私混同が行われている

会社は、融資をより確実に回収する観点か

ら、経営者保証を省くことはできません。


一方、業績がよい会社は、融資の回収が容

易な会社であることから、経営者保証も不

要と判断できます。


そして、そういった優良な会社に対する融

資は、銀行も積極的になります。


すなわち、優良な会社への融資を増やすと

いうことと、経営者保証のない融資を増や

すということは同じことであり、それは銀

行も歓迎しているということです。


では、前述のような、銀行がなかなか経営

者保証を外してくれないという会社は、ど

ういう会社なのでしょうか?


これは、前述のような銀行が積極的に融資

をしたいと考える会社の裏返しで、経営者

保証を必要と銀行が考えている会社は、融

資をすることにあまり積極的になれない会

社です。


もう少し細かく述べれば、その会社は、ほ

かの銀行から融資を受けるときも、同じ条

件、すなわち、経営者保証をつけることを

求められるだろうと判断されているという

ことです。


もし、経営者保証なしの融資を望んでいる

会社であるA社が、X銀行では経営者保証

を条件にされている一方で、Y銀行では経

営者保証は不要とされているとすれば、A

社は、Y銀行からだけ融資を受けるように

なり、X銀行との融資取引は、徐々に解消

してしまうでしょう。


そのような状況の中で、X銀行がA社との

取引を望んでいるとすれば、X銀行は、直

ちにA社との取引条件を変えるはずです。


話が遠回りになりましたが、融資を受けて

いる会社が経営者保証を外すことを望んで

いたとしても、それだけでは経営者保証は

外してもらえず、銀行から積極的に融資を

したいと思われるようにならなければ、そ

の会社の要望は受け入れてもらえるように

ならないということが、今回の記事の結論

です。


経営者保証を外して欲しいと要望している

にもかかわらず、それを受け入れてもらえ

ない会社が少なくないということも事実と

は思いますが、それは、経営者保証を外せ

ないというよりも、銀行のその会社に対す

る取引方針そのものが積極方針ではないと

考えるべきでしょう。

 

 

 

 

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