鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

お客様アンケートによる改善

[要旨]

カレーハウスCoCo壱番屋の創業者の宗次さんは、顧客からのアンケートはがきを事業改善に活用し、業績を伸ばしてきました。このことは、事業活動において、振り返りが重要だということの証左であると言えます。


[本文]

先日、日本放送協会が、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者の、宗次徳二さんを取材した記事を掲載していました。その記事によれば、宗次さんは、次のようにお話しています。「お金をいただいているんだから、“よかった、おいしかった”は当たり前。それより“がっかりした”“こんな悔しい思いをした”とお客様に教えていただき、それを全店にフィードバックするんです。私が店頭で気づいたことを指導するより、お客様の指摘の方が何倍も効果がある。時にはお客様の勘違いもあるかもしれないが、勘違いさせたこちらが悪いんだ、という気持ちでやっていました」

宗次さんは、2002年に経営から退きましたが、社長時代は、顧客から届く、月間3万通のアンケートはがきに目を通していたそうです。しかし、現実には、「顧客にアンケートを書いてもらって、それを事業改善に活かせばよい」ということを、安易に述べることはできないでしょう。宗次さんには、もっと、深い経営者としての信念や行動があり、その表われのひとつが、アンケートはがきの活用に過ぎないのだと思います。

ところが、この、利用者の意見のフィードバックは、簡単にできるようで、なかなかできないのも現実だと思います。例えば、利用者からのアンケートよりも、もっと簡単に把握できる、自社の前月の月次の売上や利益を、事業活動に活かしている中小企業経営者は、残念ながら、割合としては高くありません。

そして、これについても、私が何度も述べていますが、振り返りをしている会社と、そうでない会社では、業績に差が出ていることも事実です。このようなことから、顧客からのアンケートを活用するかどうかということの前に、自社の活動の振り返りをしようという姿勢が、さまざまなことに作用して、業績向上に影響していると私は考えています。宗次さんの記事を読んで、振り返りの大切さを改めて感じました。

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