鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

PDCAの実践は経営者の基本的な役割

[要旨]

PDCAの実践は、経営の基本的な活動であり、また、必須の活動です。業績のよい会社は、このPDCAサイクルを高速で回転させることで業績を高めています。しかし、中小企業の多くは、PDCAの実践は労力のかかる活動であり、また、余力のある大企業でなければ実践できないと考え、実践している会社は少ないことから、顧客や銀行からの支持を得ることができない状態になることが多いようです。


[本文]

先日、ポッドキャスト番組等を製作している、岡田正宏さんのポッドキャスト番組にゲスト出演しました。これに関し、前回の4回の記事の配信で、PDCAを実践することは、銀行との良好な関係をつくり、また、PDCAの実践は、自社の業績を向上させるための、基本的な活動であると説明しました。この、PDCAの実践については、論理的には理解していただける方は多いと思うのですが、その一方で、「理想論」と考えている方も多いことも現実だと思います。

すなわち、PDCAは大企業がやることであって、経営資源の少ない中小企業では、それを実践する余裕がないと考えている方が多いということです。しかし、私は、「経営者の役割(マネジメント)=PDCAの実践」と言ってもいいくらい、経営とPDCAは切り離せないことだと思っています。なぜならば、現在の事業活動は、単なる製品や商品を提供することで成り立っているのではなく、どれだけ大きな顧客体験価値を提供できるかで優劣が決まるからです。そこで、事業活動の成果を高めるには、どれだけ効率的な組織的な活動ができるかでにかかっていることになり、それは、PDCAサイクルを高速で回すことで実現することになります。

ところが、意外と、この変化に気づかない経営者の方は少なくありません。例えば、以前、ご説明したように、多くの中小企業経営者は、未だに「良い商品は売れる」という、独りよがりに陥っているようです。そのように考えているから、PDCAを始めとした、経営者の本来の役割に目が向かないのでしょう。銀行との関係で言えば、普段は、銀行に対して情報開示をするという努力をせず、資金不足になったときだけ銀行に行き、もし、融資に難色を示されると、「銀行は自社に理解がない」という不満を持つ会社があるとすれば、それは、経営者の独りよがりの面の現れと言えるのではないでしょうか?

私は、中小企業経営者の方が、銀行に対して、媚びたり、必要以上に気を遣う必要はないと思いますが、独りよがりになりすぎてしまうと、顧客からも銀行からも支持されない会社になる可能性が高いと考えています。とはいえ、PDCAの実践は、決して難易度の高い活動ではないと思います。事業活動を、スポーツに例えれば、走り込みやうさぎ跳びといった、体力を高めるための運動のような、基礎的な活動です。したがって、経営者がPDCAを実践しないとすれば、意思の有無に尽きると思います。この続きは、次回、説明します。

2023/10/31 No.2512