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コンサルタントの顧客は顧問先と考えられがちですが、真の顧客は、顧問先の先にいる、その顧問先の顧客だと考えているコンサルタントもいます。そして、コンサルティングを受ける会社も、そのような価値観で一緒に事業に臨むと、より確実に向上するでしょう。
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経営コンサルタントの渡邉昇一さんが配信しているポッドキャスト番組に、不動産会社向けのコンサルティングを行っている、リアルターソリューションズの社長の、内山義之さんがご出演しておられました。番組の中で、内山さんは、「コンサルタントの顧客は顧問先と考えられがちだが、真の顧客は、顧問先の先にいる、その顧問先の顧客だと考えている」とお話しておられました。これは、コンサルタントは、顧問先の顧客から顧問先が支持を受けるようなビジネスを提案しなければならないという意味であり、至極当然のことです。
このことは、コンサルティングを受ける会社の経営者の方も理解できると思うのですが、私も、これまで多くの会社の事業改善のご支援をしてきて感じることは、コンサルタントと顧問先の経営者の間では、意見が合わないことは少なくありません。これも当たり前のことですが、ほとんどの会社経営者の方は、顧客から支持されるビジネスを行い、その結果、業績も高めたいと考えています。
しかし、実際には、経営者の方は、どのような製品を製造するか、どのような商品を販売するか、どのような方法で販売をするかという、自分のやりたいビジネスを、経営者の方の心の深い部分で先に決めているという例は少なくありません。そのような経営者の方の想いが、必ずしも誤っているわけではなく、経営者の方の選んだ事業が顧客から支持を得るということもあります。ただ、現実的には、そのようなケースはあまり多くないことも事実です。(これは、私自身にもあてはまり、私も起業当初から、事業の内容を変更せざるを得ませんでした)
だからといって、今回の記事の結論は、コンサルティングを受ける会社は、コンサルタントの提案に従わなければならないということではありません。「顧客から支持を得るにはどうすればよいのか」という価値観を最優先することが、より大切であると考えています。同じ価値観を持っている人同士でも、意見が異なることがありますが、価値観が異なる人同士よりは、意見を収斂させやすくなるでしょう。また、これは私自身の反省でもあるのですが、自分のやりたいことよりも、顧客に支持される事業を行うということが、ビジネスパーソンの基本だと思います。