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経営コンサルタントの小山昇さんは、顧問先に対して、事業計画と環境整備を中心とした指導を行っております。一見、事業の改善は、派手な戦略を行わなければならないと考えられがちですが、実際は、基本的な能力を高めることが、確実で最短の手法です。
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前回、中小企業が事業を改善する際には、マーケティングや人材開発など、枝の部分の戦略も大切であるものの、幹となる戦略を着実に実践することが前提となるということを書きました。これを書いたあと、経営コンサルタントの小山昇さんのコンサルティングについて思い出しました。小山昇さんのコンサルティングは、環境整備と事業計画が大きな柱になっています。
事業計画の内容については、ほとんどの方が理解されると思いますが、環境整備は、5Sに加え、見える化、習慣化などを通して、効率的で働きやすい環境を作る活動のことです。すなわち、派手な戦略よりも、まず、事業計画を立て、それが着実に遂行されるような環境を作ることが、着実、かつ、最短で会社を強くするという考え方が、小山さんの考え方なのだと思います。そして、小山さんは、ご自身が経営している会社でそれを実践し、業績を高めることで、その正しさを証明しています。
そこで、私は、中小企業経営者の方で、何か派手なことをやらなければ、事業は成功しないと考えている方がいれば、それを変えていただきたいと考えています。もし、小山さんの指導方針のように、事業計画、環境整備をいきなり始めることができないと考えている方は、月次決算から始めるだけでも高い効果が得られます。税理士の金成祐行先生によれば、日本の中小企業の約70%は赤字であるものの、逆に、月次決算を行い、それを事業改善に活用している会社の約70%は黒字になっているそうです。
そして、もうひとつ強調したいことは、月次決算を活用した経営は、決して難しいことではないということです。むしろ、DX(デジタルトランスフォーメーション)や、IoT(もののインターネット)などを導入することの方が、はるかに難易度が高いでしょう。日本の中小企業の経営者に方たちは、どういうわけか、事業計画、環境整備、月次決算などといった地味な手法には、あまり注目しません。それらを実践すれば、中小企業のすべての課題が解決するとまでは言いませんが、あまり実践されていないことが、私はとても不思議です。