鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

みずほ銀行システムの金融庁による管理

[要旨]

みずほ銀行がシステム障害を繰り返したことから、金融庁の業務改善命令を受けることになりましたが、そのような事態に至った要因のひとつは、システム部門の人員を過剰に削減したためと考えられます。この事例から、経営者の方は、人員の配置についても重要であるということを学ぶことができるでしょう。


[本文]

日本経済新聞が、9月22日に、金融庁みずほ銀行に対する業務改善命令について報道していました。「金融庁は22日、みずほフィナンシャルグループみずほ銀行に業務改善命令を出したと発表した。みずほに対し、システムの改修や保守点検計画の提出を求める。ATMなどで障害が多発したことを受け、金融庁が同行のシステムを実質管理する」みずほ銀行のシステム障害については、ここで説明するまでもないですが、金融庁の管理下で業務改善計画を提出するという、異例の状態に至ったようです。

このような、金融庁の積極的な対応は、私も驚きをもって見ていますが、それだけ、銀行業務におけるシステムの信頼性の重要さが増しているということなのでしょう。さらに、産経新聞は、「平成30年3月末時点で1,143人だった(基幹システムの)担当者は、今年3月末時点で491人となり、3年間で57%減った。6月の第三者委員会報告書では開発段階から関与していた担当者の減少に言及して、『システム構造のブラックボックス化』が進んでいると指摘していた」と報道しています。

これは、みずほ銀行が、2017年11月に、2026年度末までにグループの従業員数を、約79,000人から60,000人に、19,000人減らすリストラ策を発表していますが、そのリストラ策の一環であると思われます。これは私の経験から感じることですが、経営者が業績を向上させようとするときは、間接部門の人員を削減し、直接部門を増やそうとしたり、または、両者を減らすとしても、間接部門の人員を多めに行おうとしたりすると感じています。すなわち、みずほ銀行では、人員削減をするために、システム部門を服も間接部門の人員が多く減らされたと、私は考えています。

しかし、結果として、それは裏目に出ました。システムの不具合が続いたことで、かえってみずほ銀行の信頼性が失われ、金融庁から業務改善命令を受け、そのことは、顧客を失うことにつながるでしょう。ただ、このことは、銀行以外の会社にとっても、他山の石にすべき事例だと、私は考えています。繰り返しになりますが、業績を高めるためには、直接部門を手厚くすべきと考える経営者の方は多いと思います。

しかし、事業そのものの根幹がぐらついていては、いくら直接部門の方が懸命に働いても、顧客からの支持は得にくいままとなります。だからといって、単純に、間接部門を手厚くすればよいということではありませんが、両者のバランスを、どこで折り合いをつけるかが大切です。ただ、現在は、商品や製品での差別化を行う余地は少なくなっているので、会社の信頼性などの面の重要性が高まってきていることも事実であり、かつてよりは、間接部門の重要性の比重は高まっていると思います。

f:id:rokkakuakio:20210922193915j:plain