[要旨]
みずほ銀行のシステムトラブルに対し、金融庁は、その真の原因として、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」を挙げています。したがって、事業を適切に遂行するには、どんな事業を行うかという前に、成熟度の高い組織をつくることが大切です。
[本文]
経済評論家の山崎元さんの、ダイヤモンドオンラインへの寄稿を読みました。要旨は、みずほ銀行のシステムトラブルに関し、金融庁は行政処分を発表したが、その際、「ガバナンス上の問題の『真因』として、『言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢』をあげている」、というものです。
この、「言われたことしかしない」というフレーズは、日本中の職場で、しばしば、きかれるものだと思います。典型的な例は、古参幹部が若手の従業員に対して、「いまの若いヤツは、言われたことしかしない」というような不満を持ち、口にしているのではないでしょうか?そして、中小企業の組織の中でもきかれるフレーズを、みずほ銀行のような日本のリーディングバンクに対して、金融庁が指摘しているところに、みずほ銀行の問題の奥深さを、私は感じました。
すなわち、みずほ銀行のシステムトラブルは、表面的にはシステムの問題であっても、真の問題は組織の問題だということです。ところが、この、「組織の問題」というのは、「何が問題なのか」ということは、理解が容易であるのに対し、それを改善することはとても難しいと私は考えています。そのようなことから、みずほ銀行のように、経営者、管理者の方の多くは、組織に関する改善活動やマネジメントに目を向けようとしない実態があるのではないかと思います。
でも、みずほ銀行の例からもわかる通り、きちんとした組織運営ができていなければ、利用者からの信頼を失い、業績に大きく影響してしまいます。業績を高めるためには、どのようなビジネスを行うか、どのような製品を製造したり販売したりすることがよいかということに注目が行きがちですが、その前に、「言われたことしかしない」組織にならないようにすることが大切ということを、山崎さんの記事を読んで、改めて感じました。
2021/12/7 No.1819