鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

当座貸越のすすめ

[要旨]

当座貸越は、契約額の範囲であれば、すぐに融資を利用できる、返済期限も特に定められておらず、利用者の都合で返済できるなどのメリットのある融資契約ですが、あまり知られていないことから、利用したことない会社は、銀行に利用を打診することをお薦めします。


[本文]

日経トップリーダーの記者の神農将史さんが、日経ビジネスオンラインに、当座貸越に関する記事を書いていました。詳細は記事をお読みいただきたいのですが、当座貸越は便利な融資契約なのでありながら、神農さんがご指摘のように、銀行職員などの知識不足によって、あまり利用されていないというのも現実のようです。しかし、現在は、銀行は、年に2回の自己査定によって、融資相手の会社に対して債務者格付を行っており、その際に会社ごとに取引方針も決めているわけですから、それに従って、おおよその融資可能額も決まります。

そうであれば、その金額に従って、会社ごとに当座貸越契約を結び、その範囲で融資を行うことが合理的となると私は考えています。(ただし、業績のよくない会社は、当座貸越契約はなじまないので、仮に、当座貸越の利用が普及しても、従来のような融資案件ごとの審査が行われることになるでしょう)従って、まだ、当座貸越を利用したことがないという中小企業には、いちど、銀行に利用を打診してみることをお薦めします。ただし、当座貸越は、ある程度、業況がよくなければ、契約に応じてもらうことができません。

神農さんも記事の中で契約可能な会社の条件を示していますが、東京信用保証協会も同様の条件を示しているので、参考にしてください。(ご参考→ https://bit.ly/2YWGGvN )なお、信用保証協会の保証付きの当座貸越で注意する点として、融資利息は融資を受けた金額によって支払いますが、信用保証料は、融資額ではなく、極度額(当座貸越契約の契約額)に基づいて計算されます。例えば、1,000万円の極度額に対して保証料率が1.0%とすると、実際に利用した融資額にかかわらず、年間10万円の保証料を支払います。

また、契約は、通常は、1か年の自動更新ですが、信用保証の審査は、契約期間の到来する前に、都度、信用保証の申し込みを行い、保証の承認を得ることができれば、契約も自動更新されることになります。このように、信用保証協会の保証付きの当座貸越の条件は、保証料を支払う必要があるため、利用者にとって不利と思われる面がありますが、信用保証のない当座貸越契約と比較して、承認が得やすいことから、まず、信用保証付きの当座貸越契約を利用することをお薦めします。

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