鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

気候変動による業績リスクへの対応

[要旨]

長野市に本店のある地方銀行八十二銀行は、気候変動による業績リスクへの対応を行っています。今後、同行にならう銀行も増えると思われることから、融資を受けている中小企業も、BCPを策定するなどの対応を行うことで、銀行からの評価が高まるでしょう。


[本文]

9月14日の日本経済新聞で、長野市に本店のある地方銀行八十二銀行が、気候変動による業績リスクへの対応について報じていました。八十二銀行、ディスクロージャー誌で、「長野県内千曲川流域において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合のお客さまの業績悪化および担保価値の毀損の影響を分析した結果、最大で約60億円の与信費用の増加見込みとなりました」と公表しています。

この分析結果に基づいて、具体的にどのような対応をするかまでは言及されていませんんが、銀行が気候変動による業績リスクを分析することは大切であるということはいうまでもありません。というのも、令和1年の千曲川の氾濫による被害額は1,297億円と報道されていることからも分かる通り、同行の営業エリアでの被害額は甚大なものとなったことから、今後、同様のことが起きたときの同行への損失額も、前述のように、決して小さくないものになることは、間違いないからです。もちろん、気候変動リスクだけに備えればよいということではありませんが、幅広いリスクへの対応は、銀行の基盤を強くすることになることは間違いはないでしょう。

そこで、銀行から融資を受けている中小企業も、銀行からの評価を高めるための対応を行うことが望ましいでしょう。具体的には、事業継続計画(BCP)の策定、動産保険の適正化などのリスク対応、リスク耐性を高めるための財務基盤の充実などが挙げられます。とはいえ、いちどにこれらのような対応を行うことは困難でしょうから、まだ、気候変動リスクへの対応に未着手の中小企業は、BCPの策定から開始することをお薦めします。

f:id:rokkakuakio:20210915174141j:plain