鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資の借換に関する注意点

先日、セーフティネット保証を利用した融

資による借換について説明しましたが、そ

れに関し、何人かの方からお問い合わせを

受けました。


そして、その方たちのお問い合わせ内容か

ら、その方たちが、借換に関し、少し誤っ

た理解をしているということに気づきまし

たので、今回は、借換について、もう少し

ご説明したいと思います。


借換に関しては、多くの会社経営者の方が

関心を持っているようです。


その最大の理由は、いくつかの融資契約が

あると、それぞれ、毎月の定例返済を行わ

なければなりませんが、借換によって、既

存の融資契約を、新たなひとつの融資契約

にまとめれば、既存の融資契約の期限より

も後に到来する、新たな返済期限までの期

間にわたって返済していけばよいことにな

るので、毎月の定例返済額が減少するから

ということのようです。


この借換の効果に関する考え方は間違って

いません。


また、保証制度として借換を認めるという

ことも、定例返済の金額を減らすことで、

融資を受けている会社の負担軽減を目的に

していると思います。


では、何が誤っているのかというと、なぜ

定例返済の金額を減らさなければならない

状態になっているのかということを、考え

ていないということです。


理解しやすさを優先するために、少し粗い

説明になることをお許しいただきたいので

すが、定例返済がきついと感じる融資は、

その融資契約をする時点では、銀行側は、

返済が可能である、すなわち、それだけの

利益が見込めると判断して融資を行ってい

ます。


もちろん、必ずしも見込みはその通りに実

現するとは限らないので、融資を受けた後

に、見込んだだけの利益が得られずに、返

済が苦しくなるということはあり得ます。


そこで、繰り返しになりますが、そのよう

な会社を支援するために、借換の制度が用

意されることになったのでしょう。


そして、この借換をすることによって、前

述の通り、定例返済の負担は軽減されるの

ですが、そこで目的が達成されたと認識し

てしまい、融資の返済の原資となる、利益

を得るための努力には、あまり注力しない

経営者の方は、少なくないようです。


これに対して、「会社の利益を増やすため

の努力を惜しむ経営者はいない」とお考え

になる経営者の方も多いと思います。


ただ、私が多くの中小企業の資金調達のお

手伝いをして来た経験から感じることは、

利益を得るための努力よりも、銀行から、

借換を含めた新たな融資を得るための努力

に、多くの力を注ぐ経営者の方は少なくな

いようです。


これは、当座の資金繰を満たすための解決

策としては、利益を得ることよりも、融資

を受けることの方が、容易だからと思いま

す。


もちろん、現在は、新型コロナウイルス

染症の影響で、多くの会社が、今後の経営

環境を見通すことができない中、当座の資

金繰をつけることが最優先されます。


そのために、借換を行うことは極めて妥当

です。


しかし、繰り返しになりますが、借換がで

きれば目的が達成されることにはなりませ

ん。


経営環境が正常化したときを見通して、現

在からどういったことに着手するかが大切

になります。


それが実践されなければ、借換をすること

は、単なる課題の先延ばしに過ぎないこと

になってしまいます。

 

 

 

 

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