を受けている会社に対する金融支援策につ
いて、それらは重要であるものの、いわゆ
るゾンビ会社を増やしてしまうことになる
のではないかということを懸念する意見
を、何人かの方からききました。
そこで、今回は、ゾンビ会社に関する私の
考えを述べたいと思います。
その前に、ゾンビ会社とはどのような会社
なのか、説明したいと思います。
日本経済新聞の記事によれば、「数年にわ
たって債務の利払いすらままならず、経営
が破綻状態にあるのに、銀行や政府などの
支援によって、存続し続けているような会
社」を指すようです。
(ご参考→ https://s.nikkei.com/2JUQjQP )
さらに、その記事によれば、「国際決済銀
行(BIS)は、3年以上にわたってイン
利払い負担に対する利益の比率)が1未満
の会社」を、ゾンビ会社と定義しているそ
うです。
ICRの計算式は、ICR=(営業利益+
受取利息+受取配当金)÷(支払利息+割
引料)ですが、この式からわかるとおり、
ICRが1未満の会社は、融資の金利の支
払額が利益額を上回っているということで
あり、この比率から、その会社の融資額が
過剰であるという判断ができます。
話を本題にもどすと、このゾンビ会社に関
しては、政府の中小企業に関する支援施策
において、どう対処するべきかということ
は、これまで議論が行われてきているよう
です。
例えば、平成27年12月に開かれた、経
済産業省の中小企業政策審議会金融ワーキ
ンググループで、ゾンビ会社について議論
が行われています。
(ご参考→ https://bit.ly/2Xnvrtw )
その中で、委員で、ジャーナリストの三神
万里子さんは、「不況業種ということで、
今、区分されてる、建設・土木、運送業な
どの会社は、日本は地震が多発するので、
バッファーとして、ある程度全国的に持っ
ておかなければいけない。
だから、一見、ゾンビ会社に見えるかもし
れないけれど、政策的にはある程度必要と
いう見方もできる」と発言しています。
また、オブザーバーとして参加している、
括部長)の工藤光和さんは、「今の議論の
最後のところに、ゾンビ会社に言及があっ
たが、こういった会社もしっかりと地方を
支え、雇用を支えている会社が多いという
ことをご理解いただきたいし、我々金融機
関としては、しっかりと小規模事業者を支
えていきたい」と発言しています。
私も、2人の考えとおおむね同じ考え方を
しています。
ゾンビ会社は、個別に見ると問題なのです
が、ゾンビ会社になっている原因は、地域
経済全体からみると、割に合わない仕事を
引き受けざるを得ないために、ゾンビ会社
になってしまっているという面もあると思
います。
そこで、単純に、ゾンビ会社には支援をせ
ずに、排除しさえすればよいということに
はなっていないということも事実だと思い
ます。
その一方で、放漫経営をしているために、
業況が改善せず、ゾンビ会社のままでいる
という会社もあることも事実で、ゾンビ会
社のすべてを肯定することもできません。
また、仮に、放漫経営をしているゾンビ会
社であっても、不況期に廃業(倒産)する
と、地域経済全体から見れば、健全な会社
にも悪い影響を与えるということが懸念さ
れます。
したがって、ゾンビ会社については、不況
期にあっては、政府の支援施策による救済
の対象になってしまうことはやむを得ない
ということが、私の考えです。
ただ、ゾンビ会社が多い社会は、会社の新
陳代謝が阻害され、経済活動全体の効率性
が下がるので、本来は、ゾンビ会社は少な
い方が望ましいと言えます。
そこで、不況期を脱したときは、ゾンビ会
社に対する過剰な支援は廃止し、効率的な
経済活動が実現できる社会を目指さなけれ
ばならないと思います。
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