前回に引き続き、劣後ローンについて質問がありましたので、それに答えたいと思います。その質問は、DDSのときに契約する劣後ローンと、永久劣後ローンはどう違うのかというものです。その回答の前に、DDSについて、少し説明したいと思います。DDSは、Debt Debt Swapの略語で、一般の債務(Debt)を、劣後ローン(Debt)に切り替える(Swap)することです。DDSに似た言葉に、DES(Debt Equity Swap)というものがあります。
DESは、銀行が、融資相手の会社に融資(Debt)を返済してもらうかわりに、その金額分の株式(Equity)を発行させ、それを取得する(Swap)ことです。これは、債務と株式の交換とも言われています。そして、DDSもDESも、債務を過剰にかかえる会社の資金繰改善のために、事業再生の一環として銀行が行う支援策であるという点では共通しています。
では、DDSのときに契約する劣後ローンと、永久劣後ローンの違いは何かというと、まだ、永久劣後ローンの詳細が明確になっていないので、これも明確に答えられないのですが、劣後ローンそのものの契約内容については、ほぼ、同じであると思います。ただ、永久劣後ローンは、新たな契約を結び、融資額を増加させるものですが、DDSの劣後ローンは、既存の一般の融資契約の条件変更を行い、劣後ローン化するところが異なります。すなわち、DDSの劣後ローンは、それによって融資額が増えるのではなく、既存の融資が、そのまま劣後ローンに変わるというものです。
ただ、私は例を見たことがないのですが、DDSにおいても、新規の劣後ローンの契約が行われることがあるようですが、その際に、融資総額を増やすことは考えにくいので、その場合であっても、契約は新たなものとなったとしても、既存の融資の借換を行い、実質的には、条件変更を行ったこと同じことになると思われます。そして、こちらはイメージの問題ですが、DDSは事業再生の過程で行われるものですので、その際に契約する劣後ローンについては、それを利用するような状況になることは、できれば避けたいところです。しかし、永久劣後ローンは、事業を発展させるために、積極的に活用するものであると、私は考えています。