鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コロナの影響下でのプロパー融資の利用

[要旨]

現在は、セーフティネット保証など、コロナの影響を受けている会社への資金繰支援制度が充実していますが、金融庁からの要請もあり、銀行自身もプロパー融資には積極的に応じているようです。


[本文]

先日、知人の経営者の方から、質問を受けました。すなわち、現在は、セーフティネット保証など、事業活動に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社への融資制度がたくさん用意されているが、その融資制度以外のプロパー融資を受けることはできないのか、というものです。これに対する、直接的な回答は、「利用可能です」というものです。とはいえ、このような質問が出るという状況があるわけですから、現実は、それほど単純ではありません。

ただ、セーフティネット保証と危機関連保証は、それぞれ8,000万円の無担保保証枠があり、ほとんどの中小企業は、理論上は、1.6億円までの融資が受けられる状況であれば、資金繰に困ることはないでしょう。しかし、商品仕入れ代金や、設備投資資金など、セーフティネット保証にはあまり向かない融資需要もあります。これらについては、プロパー融資か、一般の信用保証付制度融資を利用したいと、銀行に伝えれば、銀行はそれに応じると思います。

ところで、5月27日に、金融庁監督局長から金融機関あてに、「令和2年度第2次補正予算の決定を踏まえた資金繰り支援について」という要請文書が出されました。(ご参考→ https://bit.ly/3fdOMCX )その要請文書には、「民間金融機関における、事業者支援の取組みが効果的に行われることを確保する観点から、金融庁は、各民間金融機関におけるプロパー融資残高等を分析し、政策金融機関等の融資・保証の実施状況を参照しつつ、融資残高が減少傾向にないかなど、事業者への資金繰り支援の状況をヒアリングすることとする。

その結果、金融機関における事業者支援の態勢について確認の必要が生じた場合は、特別検査(銀行法第25条に基づく立入検査)を実施することで、金融機関の取組状況を適時に確認する」と書かれており、実質的にプロパー融資を減らさないよう要請をしています。したがって、このような金融庁の要請のある中においては、銀行も、プロパー融資の実行には、決して消極的にはならないと思います。

 

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