鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

新規融資とリスケジュール

先日、新型コロナウイルス感染症の影響を

受けている会社経営者の方から、資金繰を

安定させるためには、新たな融資と、リス

ケジュールのどちらがよいかというご相談

がありました。


結論だけ、先に述べると、私はできるだけ

新規融資を受ける方が望ましいと回答しま

した。


以下、その理由について述べて行きます。


現在、金融庁は、金融機関に対して、融資

相手の会社から、新規融資や条件変更(リ

スケジュール)の申し出があったときは、

丁寧に対応するよう求めています。


(ご参考→ https://bit.ly/2wOHvck


この金融庁の要請は、現在の日本経済の状

況に鑑みれば、妥当なことです。


では、資金繰に窮している会社から見て、

新規融資とリスケジュールは、どちらも資

金繰を改善する方法になるのですが、どう

やってどちらにするかを決めればよいので

しょうか?


まず、それぞれの長所と短所を整理してみ

ます。


新規融資の長所は、まとまった金額の融資

を受けることができる、セーフティネット

保証などを利用することで、比較的、融資

承認を得やすい、自治体などから融資金利

信用保証料の補助がある、リスケジュー

ルをした場合と比較して金融機関からの評

価が下がりにくい、ということがあげられ

ます。


一方、短所は、リスケジュールと比較して

手続きが多い、融資総額が増加することに

なるため、毎月の返済額が増えるというこ

とがあげられます。


リスケジュールの長所は、新規融資と比較

して手続きが少ない、リスケジュールをし

てもらっている間は、融資の返済はしなく

てすむということがあげられます。


一方、短所は、手もと資金が増えるのは、

現在の融資の毎月の返済額に限定される、

新規融資のように、融資金利信用保証料

の補助を受けることができない、リスケ

ジュール期間中は新たな融資を受けること

ができない、新規融資を受けた場合と比較

して金融機関からの評価が下がる、という

ことがあげられます。


このような点から見ると、一概に、どちら

がよいかということは、直ちには言えない

と思います。


しかし、私は、新規融資を受けることをお

薦めします。


その理由は、やはり、リスケジュールは、

銀行からは避けたいという心理が働くから

です。


そして、現在はリスケジュールに応じても

らえたとしても、リスケジュールが終わっ

たあと、直ちに新規融資には応じにくくな

ると思います。


また、セーフティネット保証を利用した新

規融資は、金融機関からみてリスクは増加

しませんが、リスケジュールに応じた場

合、金融検査マニュアルが廃止される前の

ように、リスケジュールした相手の会社を

正常先とは判断しにくく、むしろ、分類債

権(広い意味での不良債権)が増えること

になります。


このような理由から、長期的に見た場合、

リスケジュールは、なるべく避けた方がよ

いと、私は考えています。


しかし、緊急性を要する場合は、リスケ

ジュールを受けることが妥当ということも

あります。


もし、判断に迷う場合は、金融機関以外の

専門家に、セカンドオピニオンを求めるこ

とをお薦めします。


なお、当事務所でも、新型ウィルス感染症

の影響への対応については、電子メールで

のご相談のみ、無償でお受けいたしますの

で、ご希望の方は、こちらからお寄せくだ

さい。→ http://yuushi-zaimu.net/contact/

  

 

 

 

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