鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

金融強化法改正で公的資金の申請が容易に

[要旨]

今国会で金融機能強化法が改正されると、金融機関が公的資金を受けやすくなり、自己資本比率が低下して、金融機関が融資を増やすことができなくなるという状況を、防ぐことができる見込みです。


[本文]

6月8日に、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(金融機能強化法改正案)」が閣議決定され、第201回国会に提出されました。(ご参考→ https://bit.ly/3fenJaC )この法律の改正の目的は、金融機関が公的資金を受けやすくすることです。具体的には、金融機関が申請時に提出する経営強化計画の内容に関し、収益性や効率性の目標を、通常では求めるものを不要としたり、金融機関の経営者の責任も、通常では問われる、すなわち、退任せざるを得ない状況になるところ、それも問われないこととしています。

また、公的資金の返済期限も、通常は15か年のところ、期限を設けないこととしたり、資本参加の方法は通常では優先株とするところを、普通株劣後債も可能とし、配当率も通常より引下げるなどの配慮がとられています。これまでは、金融機関が公的資金を受けようとすると、前述のように、金融機関自身の合理化を要求されたり、経営者に責任を問われたりするほか、公的資金を受けている間は、国(預金保険機構)が金融機関の経営に関与することになるので、金融機関側は、ほかに方法がないというときに申請するような制度でもあります。

しかし、事業活動に新型コロナウイルス感染症の影響を受けている会社に対して融資をした結果、金融機関が自己資本比率を低下させてしまうと、なかなか融資を増やせなくなり、社会全体の経済活動へ悪影響が出ることから、金融庁は、法律を改正し、公的資金を受けやすくするようにしたものと思います。この金融庁の対応は、中小企業への資金供給の円滑化のために、大きく貢献するものと思います。そして、この公的資金を利用する金融機関が、ことし後半から現れるのではないかと私は予想しています。

 

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