鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ピンチは必ず訪れる

[要旨]

新型コロナウイルス感染症の影響のような世界的な経済危機は、個々の会社からみると不可避なピンチですが、ピンチは数年ごとに訪れることは確実なので、それを見越した対応をしているかどうかで、ピンチのときの業績に大きな差が表れます。


[本文]

作家の本田健さんが、本田さんのPodcast番組の中でピンチの乗り越え方についてお話しておられました。(ご参考→ https://bit.ly/3f2LbHQ )要旨は、新型コロナウイルス感染症の影響のような社会的なピンチは、数年ごとに訪れることは、多くの方が分かってはいるものの、そのピンチが訪れることに備えて事業に臨んでいる人はそれほど多くない。そして、タイミングかは分からないものの、数年ごとにピンチが訪れることは確実なのだから、1度のピンチを切り抜けることもできなければ、長期間、事業を続けることはできない。

したがって、ピンチが来てから慌てるのではなく、ピンチは必ず訪れるということを前提に事業に臨まなければならない、ということです。ここまでは、「日頃の準備がいざというときのために大切」ということであり、私が、改めて述べるほどのことではありません。(とはいえ、本田さんのおっしゃっておられるように、当然のこともなかなか実践できないでいる会社も多いのですが…)

ただ、本田さんのお話を引用したのは、本田さんが、「5月に、老舗の大手アパレル会社が、経営破たん(民事再生手続開始決定)したが、その会社は、コロナの影響を受けて経営破たんしたというよりも、もともと業績が悪かったところに、コロナが引き金となって経営破たんしたと言える」とお話をしたことです。このような見方は、必ずしも、100%正しいとは限りませんが、会社には必ずピンチが訪れるという観点からは、厳しい言い方になりますが、同社は、コロナによるピンチが訪れなくても、早晩、事業が行き詰ったであろうと言えると思います。

確かに、現在は、規模の大小を問わず、すべての会社が世界的な経済危機にさらされていることは事実であり、そういう観点からは、たいへんな時期であると言えます。しかし、繰り返しになりますが、会社を経営していればピンチが訪れるということも確実であるわけですから、そのような観点からは、ピンチへの備えをしていないとすれば、その一定程度は、経営者の責任でもあると思います。確かに、このピンチへの備えをすることは、経営者にとっては難しい課題であるとは思いますが、逆に言えば、経営者の能力が発揮されるところでもあると思います。

では、中小企業はピンチに対してどういう備えをすればよいのかというと、まず、BCPの策定から始めるとよいと思います。それに着手すれば、直ちに、すべての課題が解決するわけではありませんが、会社全体で危機への備えの関心が高まり、BCPを策定していない会社と比較して、ピンチが来たときに、大きな差をつけることができるようになるでしょう。繰り返しになりますが、経営者の能力は、非常時にこそ発揮されるものでもあると思います。

 

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