前回は、中小企業信用保険とセーフティ
ネット保証の関係について説明をしました
が、この機会に、今後の信用保証制度の動
向について書きたいと思います。
国の中小企業支援施策のひとつとしての、
信用保証制度には高い評価はあるものの、
その反面、中小企業が融資に依存的になっ
てしまい、本来なら淘汰されるべき、いわ
ゆる「ゾンビ会社」がずっと事業を継続し
てしまったり、金融機関自体も、自らリス
クをとらずに、信用保証協会の保証に頼る
融資をしてしまうという、ネガティブな側
面での副作用について、以前から指摘され
ていました。
このような点について、平成27年11月
から、経済産業省の中小企業政策審議会基
本問題小委員会金融ワーキンググループで
議論が行われ、それを受けて、平成29年
6月に中小企業信用保険法が改正され、平
成30年4月から施行されました。
(ご参考→ https://bit.ly/2Jk25E8 )
改正の主な内容は、セーフティネット保証
5号の保証割合を、100%から80%に
下げる一方で、大規模な経済危機、災害等
の事態に対応した危機関連保証を創設した
ことです。
ちなみに、3月11日に、新型コロナウイ
ルス感染症の影響への対策として発動され
た危機関連保証は、その制度として初めて
の事例です。
話を戻して、前回の中小企業信用保険法の
改正、すなわち、信用保証制度の変更は、
メリハリのある保証が必要という認識に基
づいたものであると、私は考えています。
さらに、結果としての制度改正は上記のよ
うなものが主なものですが、信用保証制度
の改正に関する議論が行われていることに
ついて、私は注目しています。
というのは、前述のワーキングループが報
告した、平成28年12月20日の報告書
では、「一律80%の保証割合をライフス
テージ毎に調整する方法についても議論が
なされた」ようです。
(ご参考→ https://bit.ly/2UHDzBV )
その結果については、「一律80%の保証
割合を変更するよりも、むしろ過度な信用
保証への依存を回避し、プロパー融資を含
めた債務者への融資全体で実質的にリスク
を分担する方が中小企業支援の観点から有
効である」となっており、制度の面での保
証割合の変更は行われませんでした。
しかし、この議論の本質は、保証割合が議
論に出されたことであり、政府としては、
長期的には、保証割合か、少なくとも、信
用保証協会の保証額を減らしたいという意
図があるということの表れであると、私は
考えています。
そのような政府の考えは、規制緩和が進む
中で、当然のことと、私も考えます。
く、当面は、中小企業の業績の回復のため
の支援に施策の軸足が置かれると思います
が、長期的には信用保証制度は、限定的な
ものになって行くでしょう。
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