受けた会社への資金繰支援としての、セー
フティネット保証(以下、SN保証と記し
ます)と危機関連保証について説明しまし
たが、その後、危機関連保証とは何かとい
うご質問を受けましたので、今回は、危機
関連保証について説明したいと思います。
危機関連保証は、平成29年の6月に、中
小企業信用保険法が改正(施行は平成30
年4月)されたことによって作られた、新
しい制度で、令和2年3月の発動が、初め
ての発動となります。
中小企業庁のホームページによれば、危機
関連保証は、「内外の金融秩序の混乱その
他の事象が突発的に生じたため、全国的な
資金繰りの状況を示す客観的な指標である
資金繰りDI等が、リーマンショック時や
東日本大震災時等と同程度に短期かつ急速
に低下することにより、我が国の中小企業
について著しい信用の収縮が全国的に生じ
ていることが確認でき、国として危機関連
保証を実施する必要があると認める場合
に、実際に売上高等が減少している中小企
業者を支援するための措置」と説明されて
います。
(ご参考→ https://bit.ly/2ybED9L )
これだけでは少しわかりにくいので、平成
28年12月に、経済産業省の中小企業政
策審議会基本問題小委員会金融ワーキング
グループが公表した、「中小企業・小規模
事業者の事業の発展を支える持続可能な信
用補完制度の確立に向けて」を見ると、そ
の経緯を紐解くことができます。
(ご参考→ https://bit.ly/2z3rqQT )
すなわち、従来、SN保証5号は、特定の
不況業種を対象に保証する制度であったも
のの、大規模な経済危機である、リーマン
ショックのときは、緊急避難的にSN保証
5号を適用した。
しかし、大規模な経済危機のときは、経済
活動全体が縮小し、銀行の融資業務が正常
に行うことができなくなる。
それを回避するには、SN保証5号ではな
く、SN保証とは別枠で、業種を限定しな
い保証制度を、適用期間を原則1年などに
予め限定して、迅速に発動できるようにす
ることが望ましい。
一方、特定の、不況業種に属する会社を保
証するSN保証5号は、保証割合を100
%としたままであると、銀行が融資相手に
対して、事業改善のために積極的に関わら
なくなってしまう恐れがあるので、保証割
合を80%とすることが望ましい、という
ものです。
そこで、危機管理保証がつくられると同時
に、SN保証5号は、保証割合が80%に
下げられました。
ここまで、危機関連保証がつくられた経緯
ですが、以前、私が述べた通り、多くの中
小企業は、一般の信用保証の限度額を使い
切っていることは少ないので、実際に、危
機関連保証を利用する会社は、あまり多く
ないと、私は考えています。
そして、前述の通り、危機関連保証の発動
は、今回が初めてのことなので、ここから
は私の想像になるのですが、新型コロナウ
イルス感染症の影響を受けたために融資を
受けようとする会社で、SN保証4号(売
上20%以上減少)の認定を受けられない
ものの、危機関連保証(売上15%以上減
少)の認定を受けることができる会社が、
危機関連保証を利用することになると思わ
れます。
危機関連保証の認定を受けることができる
会社はの多くは、SN保証5号(指定業種
で、売上5%以上減少)の認定も受けるこ
とができますが、銀行は、100%の保証
が得られる危機関連保証を利用することを
望むので、融資の申込者もその意向に従う
ことになるでしょう。
したがって、SN保証4号、5号、危機関
連保証には、それぞれ制度の主旨はあるも
のの、利用する側から見れば、融資を受け
ることができるかどうかが問題であり、そ
れらの主旨にはあまり関係がなく、売上の
減少割合によって、どの保証制度を利用す
るのかということになるのではないかと、
私は考えています。
繰り返しになりますが、SN保証の保証限
度額では不足するので、危機関連保証も利
用しないと間に合わないという会社は、あ
まり多くないでしょう。
なお、当事務所では、新型ウィルス感染症
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