前回に引き続き、セーフティネット保証に
ついて説明します。
前回は、信用保証協会(以下、単に、「協
会」と記します)は、保証した融資につい
て、保険(中小企業信用保険)をかけるの
で、その融資について銀行に代位弁済をし
たときは、保証額の一定割合の金額を、保
険金として受け取るということを説明しま
した。
今回は、この中小企業信用保険について説
明したいと思います。
中小企業信用保険は、たくさんの種類があ
りますが、その代表的なものは、日本政策
金融公庫のWebPageでみることがで
きます。
(ご参考→ https://bit.ly/33NYd7N )
そのWebPageからわかるように、そ
れぞれの保険は、さまざまな法律で規定さ
れていますが、例えば、協会の普通保証に
かけられる普通保険は、中小企業信用保険
法で定められています。
同様に、協会の行うセーフティネット保証
と危機関連保証にかけられる保険も、中小
企業信用保険法で定められています。
そこで、協会の行う保証の金額や、保証承
諾の判断は、それぞれの中小企業信用保険
の保険金額、保険料率、てん補率などに、
実質的に左右されます。
例えば、協会が各保証制度ごとに保証する
金額は、それに対応する保険の金額を上限
にすることになり、また、てん補率が高
く、保険料率が低い保険制度がかけられる
保証制度は、保証の承認をしやすくなると
いえます。
すなわち、セーフティネット保証などは、
直接、セーフティネット保証の制度が規定
されているというよりは、中小企業信用保
険によって、間接的に規定されていると言
えると考えます。
ちなみに、これは、きちんと確認している
ものではありませんが、各協会では、独自
の判断で、業績のよい会社には、無担保で
8,000万円を超える額の無担保の保証
をすることがあり、そのような場合は、
8,000万円を超えた部分の保証には、
協会は中小企業信用保険をかけていないと
思われます。
このことは、逆に言えば、協会の普通保証
は、無担保で8,000万円を超える保証
をすることが禁止されているという訳では
なく、無担保で8,000万円を超える保
証については、中小企業信用保険をかける
ことができないということなのだと、私は
考えています。
話をもどすと、セーフティネット保証(中
小企業信用保険法では経営安定関連保証と
記されていますが、ここでは、セーフティ
ネット保証と記します)は、中小企業信用
保険法第12条で、「特定中小企業者の経
営の安定に必要な資金に係る保証」と規定
されています。
そして、特定中小企業者とは、中小企業信
用保険法第2条第5項で規定されています
が、その第1号から第8号には、いわゆる
セーフティネット保証1号から8号の対象
となる会社が定められています。
同様に、危機関連保証は、中小企業信用保
険法第15条で、「特例中小企業者の経営
の安定に必要な資金に係る保証」と規定さ
れており、特例中小企業者とは、同法の第
2条第6項でその対象となる会社が定めら
れています。
そして、ここまで4回にわたり、信用保証
協会や中小企業信用保険について説明して
きましたが、このことを説明するために
は、直接、保証制度だけを説明するだけで
は足りないと考えたため、信用保証協会や
中小企業信用保険も含めて説明してきまし
た。
現在のような、迅速な支援が求められてい
る状況においては、自治体が行う支援策の
説明にあたっては、単に、「セーフティ
ネット保証4号の要件に該当する会社」と
いう表現をすればよいと思うのですが、法
律の規定そのものが複雑であるため、自治
体などは、それを、「中小企業信用保険法
第2条第5項第4号に該当する会社」とい
う言い回しをするのだと思います。
この点については、自治体などに、改善や
工夫が望まれると、私は考えています。
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