先日、セーフティネット保証に関して、ご質問を受けました。それは、1か年の返済据置期間を付ける条件で、セーフティネット保証のついた融資を受けようと思っているが、その据置期間の間、以前に契約した融資の約定返済(毎月の定例返済)を続けることは問題ないのか、というものです。この質問に対する回答は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社が、セーフティネット保証で融資を受ける場合、既往の融資(信用保証の付いている融資と、付いていない融資の両方)の約定返済が、新たな融資の据置期間に行われることは問題ないようです。(最終的には、個別の案件ごとに判断されることがらなので、必ずしも、すべての会社の保証申し込みに対して、そのように認められるとは限りませんので、あらかじめご了承ください)
ただし、ここで、このような質問が行われた背景を、よく、理解できない方もいるかもしれません。それについて、簡単な例で説明すると、例えば、信用保証のついていない長期融資について、毎月、10万円の定例返済を行っている会社があるとします。その会社が、返済据置期間1年の条件を認められた、信用保証付きの1,000万円の新たな融資を受けたとします。そうすると、毎月10万円の定例返済(1年間で120万円)を、新たに受けた融資金であてることになると、考えることもできます。
しかし、その会社の、年間のEBITDAが120万円以上あれば、その会社は新たな融資を受けなくても、既存の融資を返済できる能力を持っていると考えることができるので、新たな融資を審査する上で、問題があることにはなりません。(EBITDAは、その会社の融資の返済原資がどれくらいあるかを示す数値で、中小企業の場合は、EBITDA≒営業利益+減価償却費とお考えください。EBITDAの詳細は、こちらをご覧ください。→ https://bit.ly/2xwVx2L )
ところが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた会社は、売上が減少し、利益も減っています。そうなると、EBITDAも十分ではなくなり、前述のような例では、新たな契約による融資金を、既往の融資の約定返済にあてる、すなわち、実質的な借換えを行うことになってしまいます。ただし、今般の、セーフティネット保証などの目的は、中小企業の資金繰の維持であり、前述のように、普段であれば認められないであろう、実質的な借換も認められるようです。