鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ワンマン社長は何が問題か

よく「ワンマン社長」という言葉を聞き

ますが、これは、否定的な意味で使われる

ことが多いようです。


大辞泉によれば、ワンマンとは「他の人の

意見や批判に耳を貸さず、自分の思いど

おりに支配する人」と説明しています。


ただし、中小企業では、社長はワンマンに

ならざるを得ない面があります。


実は、中小企業と大企業の大きな違いの

ひとつは、社長の地位だと思っています。


大企業では社長は株主総会や取締役会の

手続きを経て選任されますが、中小企業の

場合、社長=大株主であり、中小企業に

おける意思決定は、良くも悪くも、社長が

一人ですべて行えるということです。


中小企業では、「社長の権力が強い」と

いう表現よりも、「オーナー(大株主)の

権力が強い」という表現の方が正確である

と私は思っています。


よく、創業者が子息に「社長」という

ポジションを譲っても、引き続き会社に

大きな影響力を持っている理由は、

オーナーという地位に変わりはない

からです。


話しを戻すと、中小企業では、オーナー兼

社長の権限が大きいので、ワンマンになら

ざるを得ないのです。


ただし、権限が大きいといっても、必ず

しも中小企業の経営者は、大辞泉にある

ような「他人に耳を貸さない」人である

とは限らないと私は思っていますので、

ここで付言しておきます。


さらに、もうひとつ付言したいことは、

権限が大きいためにワンマンであると私は

述べていますが、それは、責任が大きい

ためワンマンであるとも言いかえることが

できるということです。


中小企業のオーナー兼経営者の方は、

それなりのリスクを負って事業運営に

臨んでいるわけですから、リスクを負うと

いう責任に応じた強力な権限を持っている

ことは当然のことでもあります。


希に、権力だけをふりかざして責任を取る

ことを避けようとする経営者もいますが、

そのような人は論外です。


そして、ここまで述べたように、中小企業

経営者はワンマンであることは、当然の

ことであり、「あの社長はワンマンだ」と

中小企業経営者を批判することがあると

すれば、私は「ワンマンではない中小企業

経営者はあるのか」と聞き返したいと

思っています。


(大企業の子会社の、いわゆるサラリー

マン社長は、その子会社が中小企業である

場合、ワンマンでない中小企業経営者と

いうことになりますが、それは例外です)


では、なぜ、「ワンマン社長」は否定的に

受け止められることが多いのかということ

ですが、私は、それは、ワンマンである

ことではなく、無秩序、もしくは、不透明

であるからだと思います。


その例として、中小企業経営者の方は、

朝令暮改であると批判されることが

あります。


朝令暮改であることが、決して問題である

とは限りませんが、組織的な活動をするに

あたっては、それは障害となると私は

考えています。


文字通り、朝に出した方針が夕方に変わる

ようなことがあると、その会社の従業員の

方は、疲弊してしまいます。


前述のとおり、社長の権限は強いので、

社内ではだれも朝令暮改を批判できま

せんが、たびたび方針が変わることが

続けば、「いま社長が言ったことは、

すぐに変わるだろう」と従業員の方が

考え、能動的な行動ができなくなります。


社長に対して「ワンマン」であることが

批判されるのは、社長の権限が強いという

ことよりも、無秩序な行動を誰も止められ

ないことだと思います。


このようなことを書くと、「そこまで気を

遣うことは面倒だ」と考える経営者の方は

多いと思いますが、私は、これは、

リーダーだからこそ免れない役割だと

思っています。

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170319014930j:plain