鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

消耗品や保守サービスで利益を得る

[要旨]

経営コンサルタントの今枝昌宏さんによれば、レーザープレードは、製品の価格を下げて顧客による購買を促し、その製品に使用する消耗品や製品の保守・運用サービスなどを比較的高額で販売して利益を上げるビジネスモデルで、これは、替え刃カミソリを初めて製品化したキング・キャンプ・ジレットが、カミソリ本体を格安な価格で販売し、そのための替刃で利益を上げるビジネスモデルを確立したことが最初だということです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの今枝昌宏さんのご著書、「ビジネスモデルの教科書-経営戦略を見る目と考える力を養う」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、今枝さんによれば、ブルーオーシャンは、顧客に提供する価値の要素の新たな組合せを提供することで新たな顧客セグメントを創造し、競合のいない新たな市場空間を作り出し、そこを独占して利益を上げるビジネスモデルであるということについて説明しました。

これに続いて、今枝さんは、レーザーブレードについて述べておられます。「レーザープレードは、製品の価格を下げて顧客による購買を促し、その製品に使用する消耗品や製品の保守・運用サービスなどを比較的高額で販売して利益を上げるビジネスモデルです。替え刃カミソリを初めて製品化したキング・キャンプ・ジレットは、カミソリ本体を格安な価格で販売し、そのための替刃で利益を上げるビジネスモデルを確立しました。

レーザーブレードとはカミソリの刃のことで、その名称はジレットのこの商法に由来しています。ジレットとともに有名な例として、コダックは有名な普及カメラモデルであるブローニーをたった1ドルで販売し、そこで使われる専用フィルムの販売や、DPEによって利益を上げていました。エプソンやキヤノンは、プリンタ本体を比較的安価で販売する一方、インクを比較的高額で販売して利益を上げています。通信会社各社は、携帯電話やスマートフォンを一定期間の回線使用を条件として、低額で販売しています。

何らかの製品を所有し使用する場合、その製品のライフサイクルで所有者が支払う費用の合計は製品自体を購入する価格の5~10倍にも及ぶと言われており、そこに目をつけたのがレーザープレードです。最初に購入する製品をディスカウントすることで顧客に製品の購買判断を促し、その後その製品のために購入する消耗品や保守・運用サーピスは比較的高額で販売するのです。製品のライフサイクルコスト全体をビジネスの対象とするので売上が増大し、消耗品やサービスが高額で販売されるため全体としての利益率も向上します。

レーザープレードには、製品と後続品である消耗品ないしサービスとの間を結びつける何らかの仕組みが存在し、一度製品を購入すると消耗品やサービスを自社から購入せざるを得ないように仕組まれている必要があります。それは消耗品の規格であったり、独特のインタフェースであったり、データフォーマットであったり、サービスに必要な製品知識であったりします。レーザープレードには顧客の製品の購買リスクを下げる効果があり、購入を躊躇する顧客に対しても購入を促すことができる結果として市場が広がります。

顧客は、どれだけ使うかわからない製品を購入するのは躊躇しますが、製品価格が低く設定されていれば『買ってみようかな』と思うものです。個別の顧客についていうと結果的に使わないために後続品を売ることができず、結果的に自社が損をしてしまう顧客もある割合で存在しますが、大多数の顧客は製品を購入すればある程度使うものであり、その結果として自社の利益率が向上するだけでなく、製品、後続品ともに市場を広げることができるのです」(118ページ)

レーザーブレードのビジネスモデルは、以前、お伝えした、顧客ライフサイクルマネジメントと同様に、継続的な取引によって利益を得るものです。そして、レーザーブレードの場合、顧客から見て、最初の支出の対象となる、製品そのものの価格を値引いて、いわゆる「顧客囲い込み」を行うものです。これを実践するにはある程度の経営資源が必要であることから、中小企業には不向きなビジネスモデルだと思います。しかし、レーザーブレードを採用している会社の商品を、自社が代理店になって販売することは可能だと思います。

例えば、ミネラルウォーターのサーバーのレンタル料金を無料にして、ボトルの売上で利益を得るという手法は、典型的なレーザーブレードですが、例えば、プロパンガス販売会社や、清掃用具のレンタル会社など、ルートセールスを行っている中小企業が代理店としてミネラルウォーターを販売することで、レーザーブレードのによる事業展開を行うことができるでしょう。

2026/3/1 No.3364