鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

うるさい人をそばに置く

会社の経営者、特に自ら起業した人は、自分のアイディアを実現したいという思いが強いと思います。だからこそ、それを拒もうとする人は遠ざけたいと感じるでしょう。私が銀行で働いているときにも、さまざまなアイディアに基づく融資の申し込みに対し、「そのアイディアはうまくいかないと思われる」という理由で 融資を断り、経営者の方と幾度も論争したことがありました。では、そういった時に、結果的に銀行の考え方が正しいかというと、100%正しいとは限りません。とはいえ、銀行も多くの融資先を見ていることもあり、銀行の判断の方が正しいことの方が多いようでした。

ただ、ここで述べたいことは、どちらが正しいかということではなく、過程を大切にすべきということです。特に、オーナー会社では、社長の考えに反対する人はほとんどいないでしょう。強いて述べれば、融資を受けている銀行だけということになります。とはいえ、銀行の意見をきけということではなく、身の回りにあえてうるさい人をそばに置くべきということです。

というのは、平成26年3月28日のNHK経営委員会で次のようなやり取りがありました。「例えば、経営委員会に任命されたのだから、経営委員会は自分たちの味方であってほしいと思われているふしがないとはいえないのです。これは逆で、経営委員会はモニタリング機関として会長を選任しました。そのあとは明らかに、モニタリングされるものと、するものという関係になるわけです。自分を取り巻くガバナンスの仕組みが厳格であればあるほど、その人たちに信任されているということの重みは大きいのです。ある程度しっかりとしたガバナンスが会長を信任しているということになるのです。それによって会長の権威は非常に高まるわけです。ガバナンスとはそういうものなのです。自分がやりたいことにケチをつけている、あるいはチェックしようとしているというように理解してはいけないのです」これは、経営委員の方が会長を批判して発言した内容です。

ここではガバナンスが主要な論点となっていますが、事業のアイディアについても、自分と考え方が違う人や部外者が「それならうまくいく」と考えるようなものであれば、成功する確率も高いということです。一見すると、自分の意見に反対する人がそばにいると邪魔と考えがちですが、自分と立場や意見の違う人が賛成するくらい練り込むことによって、事業が成功するものと私は考えています。

 

 

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