[要旨]
融資の条件変更(リスケジュール)は、手続きの手間が少なく、承認までの時間も短いが、資金繰改善の度合いに限界があるので、急ぐ場合はつなぎ融資を活用し、セーフティネット保証等の保証付融資を利用することが望ましいと考えられます。
[本文]
先日、取引銀行へ条件変更(いわゆる、リスケジュール)を依頼することを検討しているという会社経営者のBさんからご相談を受けました。Bさんが条件変更を依頼しようとしている理由としては、新規融資を依頼しようとすると承認までに時間がかかること、また、手続きも煩雑であることから、手続きも容易であり、承認までにあまり時間がかからない条件変更を依頼しようと考えていたようです。
条件変更は、Bさんが考えている通り、手続きが容易であり、承認までに時間がからないという点は、融資を受けている側としてはメリットと感じられる点です。その一方で、Bさんの会社の資金繰が改善は、毎月の融資返済をしなくてすむというだけにとどまります。そういった面では、事業活動に新型コロナウイルス感染症の影響を受けている間は、条件変更だけでは心もとないのではないかと思います。
しかし、4月27日に、中小企業庁と金融庁は、民間金融機関に対し、「『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』を踏まえた資金繰り支援について」という書面で、セーフティネット保証等の保証のついた融資や、日本政策金融公庫の特別貸付のつなぎ融資を、積極的に行うよう要請しています。(ご参考→ https://bit.ly/3gg3BpV )すなわち、セーフティネット保証等や特別貸付の承認が得られるまでの時間的な余裕がない会社に対しては、いったん、銀行がプロパーのつなぎ融資を行い、セーフティネット保証等や特別貸付の承認が得られたら、その融資でつなぎ融資を返済すればよいということになります。
このつなぎ融資は、希望するすべての会社が利用できるとは限らず、また、新規融資の申請手続が必要になるということに変わりはないものの、時間的な問題は解消されます。とはいえ、新規融資を受ける方が、条件変更をしてもらうよりも、資金繰は大きく改善されるので、条件変更を考えている場合は、つなぎ融資を活用して新規融資を受けることの方が望ましいと思われます。
銀行としても、申し出通りに条件変更に応じるよりも、セーフティネット保証等を利用してもらうことの方が、貸倒引当金の負担などが少ないことから、積極的につなぎ融資や、セーフティネット保証等の保証付き融資に応じるものと思われますので、Bさんにはそのように回答しました。条件変更を考えている会社経営者の方は、手続きの簡便さだけにとらわれず、つなぎ融資を活用し、最終的には新規融資を利用する方向でご検討することを、ぜひお薦めします。