鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

マーケティング・コンセプト

今回は、マーケティング・コンセプト

マーケティング概念)の歴史について

述べます。


本題に入る前に、マーケティングの定義に

ついて触れます。


マーケティングの定義は、時代や国により

変わってきていますが、1990年に、

日本マーケティング協会が公表したマーケ

ティングの定義は「企業および他の組織が

グローバルな視野に立ち、顧客との相互

理解を得ながら、公正な競争を通じて行う

市場創造のための総合的活動」となって

います。


この定義はやや抽象的で、いちど読んだ

だけでは、なかなか理解しにくいと思い

ますが、これを詳しく説明することは

別の機会にもうけることとし、ここでは

マーケティングとは「売れるしくみを

つくる活動」と理解してください。


そして、単なる販売活動にとどまらない

総合的な活動であるということにも

ご留意いただきたいと思います。


本題にもどり、マーケティング・コン

セプトの歴史について順に説明します。


かつては、ものはつくれば売れるという

時代がありました。


これを、生産志向のマーケティング

コンセプトといいます。


その次に、製品の供給が増えてくると、

製品同士の競合が起こり、よい製品を

つくることで競合に優位に立とうと

する考え方が出てきます。


これを製品志向のマーケティング・コン

セプトといいます。


さらに、製品の供給が増えてくると、

製品の販売方法で競合に勝つように

しようとする考え方が出てきます。


これを販売志向のマーケティング・コン

セプトといいます。


しかし、社会がもの余りの時代になって

くると、単なる販売努力だけでは製品が

売れなくなってきます。


そこで、新しい需要を発掘し、需要を

掘り起こすことで製品を販売するように

なってきました。


これをマーケティング志向のマーケ

ティング・コンセプトといいます。


販売志向のマーケティング・コンセプト

と、マーケティング志向のマーケティング

・コンセプトの大きな違いは、プロダクト

・アウト(メーカーの製造する製品を売る

という考え方)から、マーケット・イン

(顧客の望む製品を売るという考え方)に

変わったということです。


さらに、最近は、ソーシャル・マーケ

ティング志向のマーケティング・コン

セプトも登場したと言われています。


すなわち、顧客の要望だけでなく、

社会の利益も考えた製品を供給しよう

という考え方です。


ここまでマーケティング・コンセプトに

ついて述べてきましたが、結論は、

少なくとも、マーケティング志向の

マーケティング・コンセプトを持ちま

しょうということです。


多くの会社では、販売努力をしなければ、

自社製品は売れないということは理解

しており、それを実践しておられます。


しかし、マーケティング志向のマーケ

ティング・コンセプトを実践している

会社は少ないようです。


ここで、「当社は、顧客の要望に応じた

製品を製造しており、マーケティング

志向のマーケティング・コンセプトを

実践している」と考えておられる方も

おられるでしょう。


販売志向のマーケティング・コンセプトと

マーケティング志向のマーケティング

コンセプトの明確な線引きは難しい面も

ありますが、マーケティングドラッカー

の言う「セリング(販売活動)をなくす

こと」と考えた場合、そこまで実践できて

いる会社は少ないでしょう。


この、マーケティングが重要ということは

多くの方が理解しておられるものの、

本当に効果のあるマーケティングを実践

することは難しいようです。


しかし、近年は、業績向上の要因の比重が

製品そのものよりもマーケティングに移り

つつあります。


だからこそ、マーケティングの実践や、

それを実現できる組織体制づくりが大切で

あり、それを実行できる能力が経営者に

問われていると私は考えています。

 

 

 

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