鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

信用リスク

これは、すべての経営者の方があてはまる

わけではないのですが、時々、信用リスク

という考え方について理解できないという

経営者の方に遭うことがあります。


銀行の融資について言えば、融資をした

お金が、返済されない危険があります。


これが信用リスクであり、銀行の場合、

融資額のうち、合理的に計算した金額が

返済されないと見込んで費用(科目は

貸倒引当金繰入)として計上します。


信用リスクは、業績のよい会社は低く、

そのような会社への融資に対する

貸倒引当金繰入額は少なくなります。


逆に、業績の芳しくない会社の信用

リスクは高く、貸倒引当金繰入額も多く

なります。


また、担保についても、評価額が大き

ければ、担保評価額相当額の融資に

ついては、信用リスクが低くなります。


ここまで信用リスクについて説明して

きましたが、信用リスクは会計の独特の

考え方であるため、前述のように、

これを理解しない経営者の方もときどき

遭うことがあります。


あえて極端に書けば、融資先の会社の

経営者に対して、銀行職員が、「御社は、

前回の決算で赤字を計上したので、信用

リスクが高くなりました。


したがって、融資利率を2%引き上げ

させてください」と利率引上の依頼を

したとします。


このよう依頼をされた経営者のうち、

反発したくなる経営者の方は多いのでは

ないでしょうか?


もちろん、実際には、このような、ぶし

つけな依頼をする銀行職員はいませんが、

「決算内容に基づいて融資金利の変更を

お願いすることになるかもしれません」

などと言われることになるでしょう。


ここで、信用リスクを理解している

経営者の方は、その銀行の意図を汲み

取ることができると思うのですが、

信用リスクを理解していない経営者の

方は、「銀行は強い立場を利用して、

弱い中小企業に不当な要求をしている」

と考えてしまう人もいるようです。


中には「困っている会社を助けることが

銀行の役割だ。


逆に、中小企業の弱みに付け込んでいる」

と考えてしまう方もいるようです。


ここで、銀行職員が信用リスクについて

説明することもできなくはないのですが、

そのような説明をすると、経営者の方

からは「銀行は、私の会社が融資を返済

できないと思っているのか」と抗議されて

しまう恐れがあることから、そこまで説明

することはほとんどないでしょう。


ここまで述べて来た結論のひとつは、

銀行は信用リスクにもとづいて金利

引き上げの要請をすることがありますが、

それを不当な要求と捉えてしまうと、

ボタンのかけ違いとなり、建設的な議論が

できなくなるということです。


ふたつめは、業績が悪化したにもかか

わらず、金利の引き上げに応じない場合、

銀行は、その融資先に対する貸倒引当金

繰入額をカバーできるだけの金利を得る

ことができず、融資取引の収益面で

不採算になることを避けるため、融資を

引き上げる取引先と判断されることに

なりかねないということです。


銀行からの要求は、必ずしもすべてが妥当

ということではありませんが、もし、納得

できない要求があった場合は、税理士の方

などにセカンドオピニオンを求め、もし、

銀行の要求に理がある場合、直ちに善後

策を講じることが大切でしょう。

 

 

 

 

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